こけしブログ クラブこけし物語

クラブこけし物語と題したストーリーによって 所有するこけしを紹介

カテゴリ : クラブこけし物語(本編)

クラブこけしでは従業員の福利厚生として定期的に教養講座を開催しており、
主に講師を務めているのが“赤んぼ先生”(店外76他)である。
ある日、先生は書生で助手の“ツタフミ”と“一子(イチコ)”(店外108他)を呼び出した。
「急に呼び出してすまんでち。実は次回の講義日の都合が悪くなったんでち。」
「そうですか先生。じゃあクラブこけしに休講の連絡をしておきましょうか?」
赤んぼ先生を心より尊敬する有能な書生のツタフミが気を使い確認をする。
「それには及ばんでち。私の知り合いで“若先生”という若者がいるんでち。」
「若先生!?」
「うむ。若いのに非常に優秀で中々の好青年。彼にピンチヒッターを頼もうと思うでち。」
ツタフミは何やら面白くない。尊敬する先生から高い評価を得る若先生とやら、
聞けばコケボンヌ大学の非常勤も務めるという。勤勉な書生であるツタフミからすれば、
大学と言えばサークル、合コン、男女の刹那的交際等、浮ついたイメージしかない。
彼女は金髪で色黒マッチョなサーファー男子を漠然と想像しつつ先生に聞く。
「その若先生ですか?そんな学生みたいなのに先生の代わりなんか務まるんですか?」
「君達には当日助手も頼みたいし、今日は彼を呼んでいるでち。若先生、カモンでち!」
「そんな、私、先生以外の助手なんて嫌ですか・・・ホゥッ!?」(BGM♪
若先生と赤んぼ先生
現れたのはツタフミの予想に反し、まだあどけなさすら残る小柄な青年なのだが、
その表情や物腰は気品とインテリジェンスに溢れておりツタフミは息を飲む。
「初めまして、若先生と申します。よろしくマドモアゼル!」
「マ、マドモアゼル!?・・・私、ギャップ萌えかもしれない・・」
赤ん坊姿なのに博識でにキリリとした眼差しの赤んぼ先生を尊敬するのも、
その"ギャップ萌え"からであろうが、そんな自分をツタフミは自覚はしていない。
「かもしれないって、今更かいな・・・」そう言い一子はため息をついていた。
なお自己紹介直後「マドモアゼルを惑わせちゃったかな?」との若先生のオヤジギャグが、
ボーっとしているツタフミの耳には入らなかったのは幸いかもしれない。
つづく
若先生
○渾名:若先生(南部系)

○工人:佐々木覚平
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鎌倉の某店でこの覚平こけしを見たとき、あ、『若先生』だ!と思いました。
ご当地の宮沢賢治を意識したマント型のデザインと思われますが、
その優しい顔立ちも相まってアカデミックなイメージを抱いたせいでしょう。
覚平のキナキナではないのを見るのは初めてで、珍しいとつい手が出ました。

お盆真っ只中のある日、何も予定のないクラブこけしオーナーが店でぼんやりしていると、
委員長を筆頭にワイワイとこけしの一行が店を訪ねてきた。オーナーは頭を巡らす。
(確か赤ヘルちゃん、笠子ちゃん、トシオちゃん・・・ダメだ、後は思い出せない。)
ウズラとオカズと土湯一族
彼女等はオーナーの愛人が営むこけしモデル事務所の娘達であった。
「オーナーさんこんにちは!お盆いかがお過ごしでしたか?今私達は親睦を図るべく、
港屋一門で散歩をしてまして、こちらにも挨拶がてら寄らしてもらいましたよ!」
同門と言うだけに皆似通った雰囲気があり、一度紹介を受けた者もいるのだが、
どうやら新顔も混ったりで、正直オーナーには小寸の娘達の区別が最早ついていない。
「ええっと、委員長ちゃん、何だか人数が増えたような・・・」
「よくお気づきで!背丈も似ていて結構見分け辛いんじゃありませんか?」
「いやいや、皆可愛らし娘達ではないか。」とりあえず受け答えるオーナー。
予てより愛人のスカウトに偏りは感じいてたが、彼女は区別ができているのだろうか?
そんな愛人への疑問を禁じ得ない。絶望的に覚えられる自信はないながらも、
一応礼儀としてオーナーは新顔の娘の紹介をしてもらおうと委員長を促す。
「じゃあ、家の近いエノキちゃんが紹介するわね。エノキちゃんお願いね。」
「はい!私の左の娘が“ウズラ”ちゃん。そしてその左が“オカズ”ちゃんですよ!」
オーナーがハッとする。(エノキ、ウズラ、オカズ・・・食べ物繋がりで覚えやすい!)
「私、卵みたいな丸顔なのでウズラといいます。社長(愛人)の命名です!」
「私は父の名をちょっとひねって“オカズ”です。私も社長さんに名付けてもらいました!」
これなら覚えらそうだと、オーナーは笑顔でウズラとオカズに挨拶をした。
今や大所帯となったモデル事務所に於いて、愛人もどうやら命名には苦労し、
それなりに根拠を持たせつつ工夫をしたことを察したオーナーであった。
つづく
ウズラ
○渾名:ウズラ(土湯系)
○工人:
野地忠男
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オカズ
○渾名:オカズ(土湯系)
○工人:
渡邉和夫(二代目浅之介)
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浅之助型、由吉型、粂松型、七郎型・・勉強(興味)不足で、
この辺どれも同じに私には見えてしまう土湯湊屋系列でございますが、今回少~しだけ、
話を作りながら見えてくるものもありました。引き続き地道に精進します。
果たして所有者である愛人は区別が出来ている、、わけではないようですが、
『カワイイから』という感性がモチベーションのようです。好みなんですね。

その日、クラブこけしでは新人フロアレディ採用面接を行っていた。
不景気で売上も横ばいの中、採用ハードルも高くなっている昨今である。
面接に来たのは紅葉のような胴模様のある、全体にさっぱりとした印象の娘であった。
面接官はクラブこけしのオーナー自らが行っていた。
モミジとE
「ではでは、自己紹介からお願いしようかな。」
「はい、岩手から来たエイキチといいます。」
「女の子なのに“エイキチ”とな。もし採用したらお店では源氏名が必要かのう。
う〜ん・・・じゃあ“モミジ”でどうかな?胴模様そのままであるが。」
「モミジですか・・・エイキチ的にはいいんですが、“EIKICHI”が何と言うか・・・。」
「?何を言っているのかな?」
「だから、私的には良いのですが、EIKICHI的にはどうかということで。」
「やっぱり何が違うのかわからんのだが・・・。」
「『メタ認知』ですよ。『メタ』というのは『高次の』という意味です。
高次からの自己認知、つまり自分自身を第三者的視点で客観的に認識することです。」
「わかるようなわからないような・・・。」
「何か決断や判断を迫られた場合、自己の直感以外にそういったメタ的、
つまり第三者的感覚を持つことで、冷静な決断が行えるということなのです。」
「賢げな事を言うのう。どこでそんなことを学んだのかね。」
「先程のは永ちゃんの逸話です。実は私、名前のせいもあり矢沢永吉ファンです!
彼はプライベートの『矢沢』ではなく、スター『YAZAWA』として、
自らを高次から客観視し、そのスター性を高めてきたのです!!
YAZAWAに限らずイチローも然り、つまりオーナーにも必要な大物の理論なのです!」
「私も大物になれるかね!凄い理論を聞いた気がするのだよ!
ついてはOHNAH(オーナー)、君を“モミジ”と命名するがいいかな?」
「モミジOK!やっちゃえ日産!」
上手いことオーナーをおだて上げ、めでたく採用された理論派のモミジであった。
つづく
モミジ
○渾名:モミジ(鳴子系)
○工人:
田山和文
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私は矢沢ファンではありませんが、永吉型という一点に引っ掛けた浅い発想でした。
胴模様は鳥足の方のモミジを何故か連想していますが、本当は菊の花のようですね。
私も良くは分かっていないメタ認知的な話、何となく伝わりましたでしょうか。
言われれば「ふ〜ん」ですが、実践的なところは良くわかりません。

クラブこけしオーナーの愛人が営むこけしモデル事務所には近年多くの津軽娘が所属する。
元号が『令和』となって間もないある日、クラブこけしの“ひで子”の元に、
それら津軽娘の内、盛の家系の娘が集合する会が設けられた。
開催を呼びかけたのは最近事務所に所属した“よう子”である。
皆が集まると開口一番、よう子が意気揚々と会を仕切り始めた。
「皆さん、本日は我ら盛一族、よくぞお集まりいただきました!」
よう子と盛家
ひで子「相変わらずよう子ちゃんは元気が良いわね。」
鉄子「ひで子姉さん、元気ってより、よう子はただ仕切りたいだけなのよう。」
もり子「っていうか相変わらず面白い顔してるわね、よう子。」
よう子「煩いわもり子。それよりもそのメガネ、似合ってないから。ねえみつ子。」
みつ子「どうでしょうねぇ。そうかもしれませんねぇ。」
仕切りたがりのよう子を中心に、一同近況報告等でひとしきり盛り上がった後、
よう子はひ一つ咳払いをすると再び皆に話し始めた。
「え〜皆さん!この会の趣旨はですね、遂に私達の時代が来たことのお祝いのためです!」
「私達の時代ってどういうことなのよう子ちゃん?」
「ふふふ、ひで子姉さんお気づきになりませんか?『令和』ですよ、『令和』!」
「もったいつけないで、どういううことか早く教えなさいよ。」
「そのメガネを外して鏡を見てご覧なさいもり子!そのあなたの眉毛を!!」
「眉毛?私達の眉毛がなんだっていうの?・・・まさか!?」
よう子と令和
「そう!!令和の『令』の主部「ひとやね」は、正に我らが一族の下がり眉!
こんな目出度い眉毛をした一族が他におりましょうか!!」
一同よう子の主張に(なんてこじつけ!)と思いつつも、皆何だか悪い気はしいない。
「ぅう〜ん、まあ、よう子ちゃんの主張はともかく、一族団結して行きましょうね。」
ひで子が会をしめくくる横でみつ子が小さな声で呟く。
「私は違いますねぇ・・・でもお目出度いことかもしれませんねぇ。」
つづく
よう子
○渾名:よう子(津軽系)
○工人:
奥瀬陽子
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盛家のこけしがここ最近集まってまいりました。
奥瀬洋子のものが手に入ったのを機にちょっと並べてみました。
常々思っていたのは、この型のまつ毛もさることながら、下がり眉毛の独特さです。
この角度の眉の描き方は他の系統も含めほぼ見ることは無いような気がします。

少し前の事、クラブこけしに採用されたこけし娘がいた。
目力があり古色も帯び、ある種オーラはあるが、いかんせん無口な娘である。
一応自己紹介もあったが、その時の彼女の挨拶は「チス、ンゴッス、シャス。」であった。
ゴニョゴニョした小声で、何と言ったのか皆よくわからなかったが恐らく、
「こんにちは、ンゴです。よろしくお願いします。」だろうと判断した。
“ンゴ”という変わった名のシャイな娘が採用されたものだと皆思っていた。
そんなある日、店に居候中の重鎮“サク子”(店外23他)が小旅行から帰ってきた折、
店を一眺めして驚愕の声を上げた。「デ・・・デンゴちゃん?!」
デンゴとサク子
「ネサン。サシブリッス。」(姐さん。お久しぶりです。)
「相変わらずのシャイな喋り方ね・・・。でもここで会えるなんてビックリよ!?」
「タシモマタエテレシッス。ネサンオッテキタッス。」(私もまた会えて嬉しいです。姐さんを追ってきました。)
“ンゴ”ではなく"デンゴ"と聞き、大層な家柄の娘である事に、皆やっと思い至る。
サク子と旧知であることにも納得しつつ、二人のやりとりを聞いた。
「追って来たって、コミュ障・・失礼、奥手なあなたがよくまあここまで?」
「ナナネン…」
「え?7年?」
「オーナーノサイフノヒモ、カタクテ、ナナネンッス。」(オーナー財布の紐が固くて7年かかったのです)
「あなたの身請けはにオーナーもさぞ気張ったでしょうけど、どう納得させたの?」
「メ、アワセツヅケタッス。クルタビ。」(オーナーが店に来る度、目を合わせ続けました。)
「何と迂遠な・・・でもデンゴちゃんらしいわ。ともあれ、またよろしくね。」
「シャス、ネサン!マタエテレシッス!」
目力と忍耐でオーナーを納得させたデンゴの力量に店の一同も称賛を送った。
そんな目力を、デンゴは時折お菓子等を食べている者にジッと向けてきたりもする。
見られた者は「なんかズルい!」と思いつつも彼女にお菓子を分ざるを得ないが、
「シャス」と嬉しそうに言われると憎めない、無口だが愛されキャラのデンゴである。
なおデンゴの見受けの出費により、このときオーナーはまだ寝込んでいたという。
つづく
デンゴ
○渾名:デンゴ(弥治郎系)
○工人:
佐藤伝伍
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おちょぼ口で無口なデンゴに、某店の隅からず見られていました。
そして7年の月日が流れ、とうとう腹を決めての入手となりました。
中々に値が張った理由は作の古さもありますが、鈴木鼓堂という
蒐集家の図録に掲載の作という理由もあるようです。(補足:ちょっと一息23
蔦作蔵の影響というどんぐり眼、私のツボでした。

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