こけしブログ クラブこけし物語

クラブこけし物語と題したストーリーによって 所有するこけしを紹介

カテゴリ : 店外編:国内旅行

高山を後にしたクラブこけし一行はオーナー念願の地、白川郷へとやってきた。
白川郷1
しかし何やら、よう子、もり子、富士額の津軽娘たちの不満が収まらない様子である。
「流石オーナーね、逆に見直す程よ。あと三日で大晦日よ?ねぇもり子ちゃん。」
「全くね。もうすぐ❝ゆく年くる年❞の撮影でしょ。どうしてくれるのオーナー?」
「ごめんね皆。“富士額”の名を持つ私がついていながら、面目ないわ。」
「いやいや富士額ちゃんは悪く無いわよ。オーナーの『雨男』ぶりは最早無敵ね。」
白川郷2
近年稀に見る暖冬で白川郷に雪は無く、しかもその日はあいにくの雨模様だった。
「おかしいのう。自分は晴男だと思っているんだが・・・。」
「いい加減認めなさいよ雨男!せめて雪にできなかったの?!」
「でもよう子ちゃん、問題はそればかりじゃないわ!この観光客の量は何?!」
「例によって外人ばかり・・・これじゃあ住民は生活どころじゃないわね・・・」
傘で移動しづらく観光客数も多い一方、休憩場所どこも満席。
一行は何とか内部公開をしている合掌造りの家に入ることができた。
「やっと一息つけたわ。しかしえらい状況だったわねオーナー。」
「うむ。1995年の世界遺産登録以来、今や年間150万人の訪れる一大観光地。
嘗ての長閑な山村は、今やオーバーツーリズム問題に悩んでいるのだよ。」
「現役の生活地域だものね。私達も来ておいて何だけど、考えさせられちゃうわね。」
悪天候と白川郷の状況を目の当たりにし、重いムードが漂う娘たちにオーナーが言う。
「まあまあ、そう暗くならず。折角だし写真でも撮ってあげよう。」
果たしてオーナーの撮影したデジカメ画像を、津軽娘たちは覗き込んだ。
白川郷3
「あら、ムード出てるじゃない。」
「うん、悪くない写真ね。オーナーにしては上出来ね。」
「これはいい思い出になるわね。やっぱり旅行はいいわよね。」
オーナーの比較的奇跡の一枚で、気分を盛り返し始めた津軽娘たちであった。
つづく
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『雪の白川郷』の期待に反し、しかも雨。誠に残念でした。
建物内では床に寝転がりカメラを固定。結果割と上手く撮れたと思います。
近年の許容量を超えた観光客問題を垣間見た旅行ともなりました。
需要と対応の限界、日本の観光立国化は問題がまだまだありそうです。

昨年末の事、クラブこけしオーナーは念願であった飛騨・高山へとやってきた。
ついてきたのは、富士額もり子よう子の津軽3人娘である。
伝統的街並みの残る高山市内はインバウンドの観光客で大賑わいであった。
高山1
「何この外国人の量は!?芋洗い状態じゃない!上海?ハノイ?何なのもり子ちゃん?」
「本当ね富士額ちゃん。最早日本語が聞こえてこないわ。」
「浅草とか大阪とか行けばいいのに、なぜ岐阜なんかに?皆どれだけ通なのよ!」
「よう子ちゃんそれは岐阜に失礼よ、でもオーナーも岐阜は初めてなのよね?」
「ていうかオーナーちゃんと写真撮ってよ。そんな影からコソコソと!」
「そうよそうよ。ホント小さい男ね。ちゃんと金○マついてるのオーナー!」
「ヤダよう子ちゃん!そんな言葉、はしたないわよ。ウフフフッ!」
津軽娘たちが興奮気味に、多少言葉が過ぎながらも観光を楽しむ一方、
あまりの混雑と外人に気後れし、堂々と写真も撮れないオーナーは音を上げる。
「ダメである。ここでは上手く撮れんのだよ。ちょっと場所を変えてもいいかね。」
一行は通りを何本か移動し、多少落ち着いたエリアへと至った。
「よし、ここなら何とか行けそうである。さあ、女子達そこに皆並びなさい。」
「まったくそんなだからオーナーの腕はいつまでたっても・・・」
オーナーへの不満を口にする津軽娘達の頭上から、俄かに話しかける声があった。
高山2
「高山へようこそお嬢さん方。」
「キャッ!びっくりしたわ。お狸様、喋れたんですね。」
「いかにも。観光はお楽しみかな?しっかり高山を堪能していきなされ。」
「流石はお狸様。オーナーと違って頼もしいわね。」
「そりゃそうよ富士額ちゃん。見てみなさいよこの金○マ。桁違いよ。」
「だからよう子ちゃん、はしたないっ、てホント桁違いね!ウフフフッ!」
インバウンドに負けじと、散策ややつまみ食いと、高山を満喫した津軽娘達であった。
つづく
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まだコロナショック前、昨年末の高山はインバウンドで溢れかえっていました。
そこまでアクセスの良い地域ではないと思われますが、大したものです。
とはいえ私も来てみたかった地域、念願叶ったところではあります。
こけし写真は外人の興味を引いてしまい、なかなかにやりづらかったです。

クラブこけしの名古屋観光も最終盤、一行は複合商業施設『オアシス21』の大屋根の上に登っていた。
オアシス21_1
広大な人工池を備えたこのガラスの大屋根は‘水の宇宙船’とも呼ばれており、
ライトアップされた名古屋テレビ塔を背景に、その眺めは何とも未来的な光景となっている。
オアシス21_2
ここでこけし娘達は旅行の感想を語り合っていたが、“おさげ”と“ボブ美”は何とも不満そうである。
「オーナーの写真の腕には呆れたものねボブ美ちゃん。オートフォーカスでまさかのピンボケとはね。」
「全くよねおさげちゃん。せっかく常滑まで行って焼き物散歩しながらポーズとか決めたのにね。」
オアシス21_3
「名古屋城なんかもう閉まってて遠くからしか写真とれないし。あれはオーナーの計画ミスよ。」
「残念だったわよね。シャチホコ小さすぎてよくわからなかったね。」
オアシス21_4
「も、申し訳ない・・・」おさげとボブ美に責められるオーナーにベンガラの助け舟が出る。
「まあまあお二人さん、モノより思い出!終り良ければすべて良しですよ!ハ〜ベベン!」
「おお、今回はベンガラちゃんの『ベベン!』に上手く収めてもらってばかりであるな。」
「まあそうね。楽しかったし、ベンガラちゃんに免じて仕方無しとし・・・ちょっと待った!何よこれ!」
オアシス21のデジカメ写真(上から2枚目)の撮れ具合を見直していたおさげが声を上げる。
「またやったわね出歯亀オーナー!この女の子の足!こんな事(店外編4479)ばっか上手くやって!」
「こ、これは、つまり、若人のお御足の潤いと水の潤いを絡めて、水々しさの相乗効果を・・・」
「お御足の潤い?!なんかもう説明がキモイわ。」ドン引きのおさげとボブ美である。
「やれやれ、これではさっきの『ベベン』も台無しですねぇ。ハ~」ベンガラも最後はため息であった。
こうして、最後に株を下げたオーナーとこけし娘の名古屋旅行は幕を閉じたのであった。
つづく
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焼き物の町‘常滑’に行き、有意義な観光をしたのですが、
こけし写真を全部ハズしてしまったせいもあり、駆け足で締めくくりといたします。
ピンボケに後で気付いても取り返しがつかないのでとても悔しいものです。
そんなわけで名古屋編はここまでですが、近い割に良く知らなかった名古屋。
総じて楽しい&満腹な観光が出来、大変満足いたしました。

クラブこけしの名古屋観光2日目の朝、一行は名古屋発祥の名喫茶店チェーン『コメダ珈琲』にいた。
コメダ珈琲
「これぞ名物モーニング〜♪珈琲一杯注文すれば♪ロハでお供が付いてくる〜♪ハ〜ベベン!」
「ベンガラちゃんのハイテンションも分かるわ。本当にパンが付いてきたわよボブ美ちゃん。」
「まったくねおさげちゃん。しかもあんこトーストとは名古屋らしいわね。」
名古屋の喫茶店名物『モーニング』驚くこけし娘3人に、クラブこけしオーナーがしたり顔で言う。
「モーニングといい、金ピカのシャチホコといい、名古屋らしい何とも見栄っ張りな文化ではないか。」
「あやかっておいてその言いようはどうなんですかねオーナー。」
「地域性があってよろしいと言っているのだよ。とかく東京人は無頓着になりがちだしのう!フハハ!」
「なんだか腹が立ってきたわ。オーナー、ご出身はどちらでしたっけ?」おさげがカチンと来たようである。
「うむ?もう東京で暮らして二十数年であるよ。」
「そんなこと聞いてないわよ。長野ですよね?初めての修学旅行の行き先どこでしたっけ?」
「ええっと・・・あ、愛知県です。」
「ですよね?オーナー少年は知多半島での初めて潮干狩りに大層喜んだんですよね?」
「は、はい・・・。」
「それに愛知と長野は同じ『中部地方』のくくりですよね。よくまあお仲間を見下せたもんだわ。」
「別に見下してはおらんよ。中部地方は関東・関西に劣らぬすばらしい文化圏なのだよ!」
名古屋への悪口は何となく自分の首を締めることに気づいたオーナーの意見は変わっていく。
「君たち、東京至上主義みたいなのはいかんよ!名古屋をもっとリスペクトせねば!」
「べベベンベン!不毛な会話はそれまで!さあ、食べましょう!」ベンガラのベベンで場は収集した。
ひとモメ引き起こすほどの独特な文化『モーニング』を、こうして一同満喫したのであった。
つづく
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名古屋では何カ所も喫茶店に行き、『モーニング』も2回体験しました(1泊しかしてないのに)。
タダと言われれば満腹でも注文、さもしさを発揮してまいりました。
愛知は小学校の修学旅行で来ていたのですが、潮干狩り以外何も覚えていません。
幼少時の旅行は意識も低いので(今回は高いのか?)何だかもったいないと時折思います。

前回の続き、『揚輝荘』後にしたオーナーとベンガラは名古屋市内の他のレトロ洋館を巡ることとした。
ベンガラはその辺に詳しい様で、ガイドとしてオーナーに色々説明をしてくれた。
まず訪れたのは『二葉館』。国の文化財にも登録された近代洋風の建物である。
名古屋ステンドグラス1
「ここは“日本の女優第一号”の川上貞奴(さだやっこ)と“電力王”福沢桃介の嘗ての住居ですよ!」
「はー、“女優第一号”に“電力王”かね。住人の響きもステンドグラスも派手であるのう。」
「当時ステンドグラスは富の象徴、かつ住人の先進性もアピールしていたのですよ。ベベン!」
「お金持ちでハイカラというわけかね。何とも羨ましい。」
名古屋ステンドグラス2
次に訪れたのは『撞木館』。和館部分と洋館部分が繋がったかつての住宅建築である。
「ここは輸出陶磁器商、井元為三郎の住宅です。日本のみならずアメリカにも店を構えた大商人です!」
「またお金持ちではないか。よほどのお金持ちでないとこういう家には住めんのかね?」
「もちろん。そうでなければ当時これだけのステンドグラスをあしらえません。」
名古屋ステンドグラス3
「これまた羨ましいのう。私も今からでも頑張ればこんな家に住める人になれるであろうか?」
「館の主は豪放磊落な人柄だったといいます。オーナーもその辺が身に付けばもしかしたら、」
そんなやり取りをしつつベンガラの写真を撮るオーナーに、撞木館の気さくなスタッフが話しかけてきた。
「あらかわいいこけしちゃん。東北のかしら?」
「えっ・・あうっ、はい、ええと山形のやつで・・なんか、ちょ恥ずかし、・・・えへ、えへへ・・」
こそこそと撮影していた虚を付かれ、ドギマギ&モジモジする彼には豪放磊落のかけらもなかった。
「だめだこりゃ、ハ~ベベン!」
ベンガラのため息のようなべべンが高らかに響き渡るのであった。
つづく
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人をもてなす洋館ないし洋間がある住居というのは当時の成功者のステータスだったようですね。
ステンドグラスもその当時やっと国産化された最新技術、つまりハイカラの象徴だったのです。
撞木館のステンドグラスのモチーフはつがいの青い鳥。何とも可愛らしいものです。
余談ですが、写真2枚目の『撞木館』の格子窓の交差部分。
目の錯覚で白い点が浮かんでは消えますね!なんか気持ちわる!

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