こけしブログ クラブこけし物語

クラブこけし物語と題したストーリーによって 所有するこけしを紹介

カテゴリ : 店外編:関東近郊

4月下旬の頃、クラブこけしオーナーが訪れたのは東京の“亀戸天神社”。
昨年は藤の花鑑賞に失敗した彼の、一年越しの名所でのリベンジであった。
ついでにと花見に誘ったのは“ハセ子”と“本物のハセ子”(138話)。
“本物のハセ子”はツンデレ“ハセ子”の憧れの姉さんで、出会いが叶ったのは最近の事。
そんなハセ子にオーナーは気を利かせ、二人の親睦を深める機会を設けたのであった。
咲き始めの藤の花の下、二人のこけし娘を橋の欄干に並べオーナーは写真を構える。
亀戸天神社
「さあお二人さん、笑って笑って〜!」
「ちょっとオーナー!セイ子姉様(本物のハセ子の事)になれなれしいわよ!」
「いいのよハセ子ちゃん。さあもっとこっちに寄ってちょうだい。」
「ああ、姉様!」
ハセ子は憧れの姉さんと並び夢見心地である。
しかしその実、セイ子(本物のハセ子)の素性を彼女はまだ良く知らない。
「オーナー早く撮って!ここ後ろ池でかなり危険よ。姉様が落ちたらどうするの!?」
「もうちょっと頑張っておくれ。人の切れ目を狙っているのだよ。」
「まったく!すいません姉様、オーナーの手際が悪くて。
ところで姉様はこれまでどこでどんな人生を過ご・・・?、どうされました姉様?」
ハセ子は、本物のハセ子が妙に恍惚の表情を浮かべていることに気づく。
「このバランスを崩したら池に落ちてしまうかもというギリギリの緊張感・・・!」
「どうしたんですの姉様!?怖いですか?高い所とか苦手ですか?」
「ああ、ゾクゾクする・・・この感覚、これは正にギャンブルね!
何だかもう我慢できないわ!ハセ子ちゃん、ちょっと天皇賞行ってくるわ!」
「天皇賞?天皇賞って・・・競馬ですか?!」
ハセ子が聞き返した時、既に本物のハセ子は場外馬券場へと走り去っていった。
「姉様・・・。姉様のこれまでの人生ってもしかして・・・。」
本物のハセ子の人となりやこれまでの人生を垣間見た気がしたハセ子であった。
つづく
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都内の藤の花のメッカと聞き亀戸天神社に詣でたのですが、
想いが強すぎたせいか、ちょっとシーズンには早すぎたようです。
こけしを橋の欄干置いての撮影は万が一を思うとすこぶる緊張しました。
上手いこけし置場が無い時の写真は時にギャンブル的な怖さがあります。

クラブこけしのオーナーが暇な時に行うのが“東京再発見”と称した勝手な都内観光。
今回やって来たのは中央区の佃。佃煮発祥の地と言われる東京の下町である。
同じく暇で付いてきたのは“ボクッ娘”(134話他)と“Q”(136話)の木地山娘二人。
後ろ向きな性格の二人が、赤い佃小橋とタワーマンションを背景に話をしている。
佃1
「ボクッ娘ちゃん、タワマンってさ、見てると何だか遣る瀬無い気持ちになるよね。」
「分かるわQちゃん。この下町の風景との対比でなおさらだよね。」
「何かこう、勝利者に見おろされているというか・・・」
「うんうん。そしてそんな建物の存在が否が応にも目に入ると言うか・・・」
二人の話ににオーナーが割って入る。
「二人共、妬むのはやめなさい。妬みは羨望の裏返しなのだよ。」
「オーナーが何だか余裕なこと言ってるわね。ねぇボクッ娘ちゃん。」
「貧乏だから単に諦めているだけよ。」
「失礼な!宝くじを当てていつか・・・」オーナーを無視し二人の会話はつづく。
「私達人間じゃないし別に住みたい訳じゃないのよ。何でこんな気持ちになるのかしら。」
「それはねQちゃん、あの神々しい立ち姿と、羨望の対象であるという事実のせいよ!」
「ええと、つまり・・・どういうことなの?」
「つまり、私達は地味だってことよ!こけし界のタワマンではないのよ!」
「やっぱりか。確かに私達はタワマンってよりも下町的な存在よね。」
「だからって諦めちゃだめよQちゃん。要はギャップなのよ!」
「ギャップ?」
「そう。下町の風景にタワマンが浮き立つように、私達が輝けるのは・・・パリよ!」
「パリ!?・・・なるほど、私達の和風で地味なムードは逆にそういうことなのね!」
「というわけでオーナー私とQちゃんをパリに連れて行って!」
「貧乏で諦めたオーナーなので無理である。」
唐突なオファーを断るオーナーだが、そうかと思いつつ二人の話は聞いていたのであった。
つづく
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佃はタワーマンションの風景も含め、今やその対比が感慨深い風景となっています。
海外旅行の際こけし写真()を撮るのもこうしたギャップを楽しんでのものです。
木地山こけしは特に和テイストが強いので、機会があれば検証したいところです。
佃ではしっかり佃煮も買い、ご飯でおいしくいただきました。
佃2
↑老舗佃煮屋さんとボクッ娘とQ

3月末、平年よりも早い桜の盛りとなった上野公園が花見客でごった返す中、
軽いノリで来てたのはカニ子(店外42他)と彼女に誘われたおそば(店外64他)だった。
2018上野の桜
「いやー、凄い人出ねおそばちゃん!こんなことになっているとは想像以上よ!」
「本当ねカニ子ちゃん、人の数もさることながら外人観光客率が凄いね!」
「でもこういうの私大好きよ。おそばちゃんも楽しみましょ。」
元来賑やかな事が好きなカニ子だが、おそばを誘ったのには別の理由があった。
この時期のおそばはなんとなく寂しそうに見えたのである。
「満開にはあと一歩ってところだけど、来週末まではもう持たないわね。」
「そうなのよねカニ子ちゃん。桜は儚いものなのよ。」
おそばの表情に影が指すのを感じカニ子はテンションを上げる。
「おそばちゃん、だからこそこの今を楽しむのよ!さあ、その辺で飲みましょ!」
「そうね、カニ子ちゃんの言うとおりかもね。元気出さなきゃね。」
「そうよそうよ。おそばちゃんったら暗い顔してるから心配しちゃったわよ。
ところで何かあったの?食べ過ぎで太っちゃったとか?」
「違うの。この時期に桜を見ると何だか父のことが思い出されて・・・」
「やだ、おそばちゃんったら。ファザコンなんだから!違うか、テヘペロ!」
「父は昔戦死したの。24歳の若さでね。桜の儚さを思うとつい重なっちゃって・・・」
(しまったー!想像以上に重い理由だった!)
事情を露ほども知らなかったカニ子。動揺しつつも空気を取り繕う術を必死で考える。
「カニ子、一気いきます!」手持ちのビールを出すと彼女は宣言し一気に飲み始めた。
「ああカニ子ちゃん、一気飲みは駄目よ!でも何か・・・凄い!」
一気飲みをするカニ子の姿に花見の雰囲気も相まり、気分の高まるおそば。
その後も花見で会話を弾ませた二人。おそばからは最早暗い気持ちは消えていた。
そんな彼女を見て「良かった・・」と言い残し酔い潰れた、気は優しいカニ子であった。
つづく
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先日、たまたま近くに来たせいもあり調味本位で上野公園に寄ってみました。
こけしと桜をしっとり撮影、と思っていたのですがそんな状況ではありませんでした。
この時期の上野公園は初めてだったので、ある意味良い経験です。
おそばの作者、我妻市助工人、昭和19年戦死。享年24歳。桜に平和を願うところです。

昨年秋、鎌倉の山中、落ち葉の中でシュウケン(8話)が呪文のようなものを唱えていた。
落ち葉
「オーラミン、タートラジン、オーラミン、タートラジン・・・」
クラブこけしオーナーの愛人のモデル事務所に古くから所属している彼女は、
声は小さいが気の優しい、可愛らしいこけし娘である。
そんなシュウケンを横で眺めているのはクラブこけしのミナオ(89話他)であった。
「何してるのシュウケンちゃん、オーラミンとかタートラジンって黄色の食用染料よね?」
「落ち葉に含まれるタンニンから黄色の色素を吸い上げる呪文よ。オーナーに聞いたの!」
シュウケンと言えばかつては黄鳴子を彷彿とさせるような黄色い胴の持ち主であったが、
時間と共にあれよと黄色は抜け、本人気にしていないかといえば少し嘘になるのであった。
なお食用染料の黄色は絵の具等の黄色に比べ色抜けしやすいのである。
「何だか黄色が薄れたせいで存在感まで薄れて、この写真も忘れられているような・・・って何でもないわ。
黄色の鮮やかなミナオちゃんに見てもらいながらの方が効果的な気がして。」
「そうなんだ・・・でもすごく怪しい感じになっているよ。黒魔術みたいな。」
「・・・オーラミン、タートラジン・・・黙って見てなさい、この絵の具の黄色女!」
「ええっ!?あのシュウケンちゃんが毒をはいた!?やっぱり良くない呪文だわ!」
「フハハハ!オーナーから聞いたこの呪文で我が黄色を完全復活させるのだ!!」
「このままではダークサイドに落ちてしまう!嘘よ、インチキオーナーの嘘呪文だから!」
「何だと!?あの野郎、この私に嘘を?許せん・・こうなったら呪いの呪文でア奴もろとも・・・」
シュウケンを葉から引きずり出し揺さぶるミナオ。程なく彼女は落ち着きを取り戻した。
「やだ、呪文の影響で心にも無いこと言ってたかしら。ほんと違うからね。気にしないでねミナオちゃん。」
「あ、うん、とりあえず戻ってよかっわ・・・。」
シュウケンが結構本心を口走っていたのではないかと少し思っているミナオであった。
つづく
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ちょっと補足をしますと、こけしは子供用の玩具という本来の特性上、
口に入っても安全な食用染料を多くは用いていたようですが、
近年はお土産的要素から、発色の良い絵の具等も使われるようです。
シュウケン入手から早6年、抜けてしまった黄色に時間経過の感慨深さを感じます。
そして去年のこの写真、地味すぎたせいかとんと忘れ、遅れながらの紹介でした。

「ボンジュール、サーバ!」
「ボンジュール、イーナ!」
フレンチなノリを楽しむのが好きな鯖湖こけし娘のサーバとイーナ(130話他)が、
とあるフランスめかしたショップの前で会話を楽しんでいた。
日仏1
「サバ(元気)?イーナ。」
「ウィ サバ!」
そんな光景を傍から眺めていたクラブこけしのオーナーが大きなくしゃみをする。
「は、は、はぁっくしょん!ズビビビ・・・」
「オーナー ビエン?マンセイビエン?」
「なんかフランス語っぽい響きだのう・・、しかし慢性鼻炎ではなく花粉症なのだよ。」
「もう、オーナーのそのくしゃみで雰囲気が台無しよう、ねえサーバ。」
「そうねえ、横でそんなにズビズビされたんじゃあ気が散るわ。」
「気が散るも何も、ここでするその変なフランス語みたいな会話がそんなに楽しいかね?」
オーナー達がいたのはフランスではなく、東京は飯田橋の『日仏学院』。
日仏2
このちょっぴりフランス気分の味わえるスポットに彼女達の希望で来ていたのであった。
「だったら本物のフランスに連れてってよ、オーナー。」
「そんな余裕も暇もありゃせんのだよ。」
「オーナー ショボイワ。あ、“ショボイワ”ってフレンチっぽいよねサーバ。」
「そうねイーナ。オーナー ビエン デ ショボイワ。」
「サーバ、シッポマ デ アーン?ワサンボン?」
「ウィ!シッポマ デ アン!ホンデ オーナーノ オゴリ!」
どうやら二人は気分を切り替え、尻尾まで餡(和三盆糖使用)の詰まった
たい焼きを食べに行こうという話でまとまったようである。
花粉症に苦しみながらもオーナーは二人に付き合いたい焼きを奢ってあげたのであった。
つづく
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最近東京の隠れた名物スポットを巡っているのですが、日仏学院もその一つです。
こけしとフランス、変な取り合わせですが、ショップのレトロなカラフルさと、
鯖湖こけしのハイカラな同模様が結構お似合いです。
日本語っぽいフランス語シリーズ、何だか好きでついまたやってしまいました。
しかしながら花粉症がつらい今日この頃です。

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