こけしブログ クラブこけし物語

クラブこけし物語と題したストーリーによって 所有するこけしを紹介

カテゴリ : 店外編:海外旅行

チェコ共和国観光を続けるクラブこけし一行は、郊外の街『チェスキークルムロフ』へと足を伸ばした。
この地に強い思い入れで臨むのはクラブこけしの天然乙女コンビ、
“トキオ(13話、店外編61ほか)”と“ハセ子(22
話、店外編2ほか)”であった。
移動のバスの中、二人のテンションは高まりつつあった。
「ハセ子ちゃん!世界で最も美しい街と称される『チェスキークルムロフ』に遂に行けるのね!」
「そうよトキオ姉さん!姉さんずっと憧れてたものね!」
「そうなのよう!その美しさといったら、もう乙女の為にあるような街なのよう!」
このやり取りを聞いていたクラブこけしオーナーが無粋な口を挟む。
「美しいからと言って別に乙女の為ではないのだよ。」
「うるさいわね女衒野郎!姉さんの憧れにケチをつけないで頂戴!」
ハセ子のオーナーへの口は
相変わらず悪いが、ウへへといやらしく笑う彼は満更でもなさそうである。
チェスキー2
果たして一行を乗せたバスはプラハから3時間で『チェスキークルムロフ』に到着。
高台から街の眺めは中世の面影そのままに、それはそれはメルヘンな景色であった。
「キャー!ハセ子ちゃん、乙女よ!乙女の街よここは!何だかお姫様になったみたいよ!」
「本当ねトキオ姉さん!感動ですね!ちょっと女衒オーナー!私たちの記念写真を撮りなさいよ!」
ハセ子に催促されたオーナーが恭しくカメラを構えては二人に言う。
チェスキー1
「それではプリンセス!二人の最高の1枚を撮ってさし上げよう!」
思いがけず“プリンセス”と呼ばれたハセ子は赤くなる。
「えっ・・ちょっ・・オーナー・・プリンセスって、もう!綺麗に撮らなきゃ許さないんだからね!」
そんなツンデレのハセ子がやはり大好きなオーナーであった。
つづく
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旅行に持っていくこけしは小寸のものが本当は楽でいいのですが、
『チェスキークルムロフ』に似合うこけしを!と考え選抜されたのがこの2本(9寸~1尺)でした。
案の定、遙々持ってくるのは地味に重かった・・・ですが、
苦労のかいもあり、なかなかにカワユイ写真が撮れたと思います。
なんだかんだで
高瀬時雄さんのこけしは好きなので頑張れます。
いえいえ、どのこけしも贔屓せず頑張るつもりです。

プラハ観光も一息ついた晩御飯時。
クラブこけしオーナーと、この旅も同行していた彼の愛人(73話ほか)はレストランに来ていた。
おたつくオーナーのメニューチョイスは、赤んぼ先生(店外編12,13ほか)が行ってくれた。
「オーナー、チェコ名物と謂えば『豚膝肉のロースト』でち!男はやっぱり肉でちよ!」
「チェコ料理にもお詳しいんですね。助かります先生!」
「草食系の持て囃される昨今、私はれっきとした肉食系でち!
肉に関してはうるさいでちよ!
ツタフミ(45話、店外編69ほか)は思う。(今日の先生は何だかちょっと男らしいわぁ!)
そうこうするうち、彼らのテーブルに『豚膝肉のロースト』は運ばれてきた。
チェコ料理1
大胆に焼き上げられた肉の塊に突き立てられたナイフ。野性味漂う雄々しい一皿である。
「オーナー、これが男の、いいや『漢(おとこ)』の料理でち!さあ、野獣の如くかぶりつくでち!」
「“さんずい”の方の『漢』ですね!では早速・・・う、うまい!」肉に食らいつき始めるオーナー。
しかし旅のストレスと歳のせいもあり、彼の胃は早々に悲鳴を上げ始める。
「先生・・・これ結構重たい料理ですね・・・本来シェアして食べるものでは?胃がもうちょっと・・・」
オーナーの発言に赤んぼ先生はカッと目を見開き激を飛ばす。
「泣き言は聞かんでちよ!何が“シェア”でちか!?その程度の肉は『漢』にとっては1人前でち!
日本人は肉もろくに食えないヤワな民族だと、チェコ人に笑われても良いんでちか!!」
「はいぃっ先生!『漢』オーナー、日本を背負い、気合いで食べてみせます!」
「うむ、据え膳は平らげてこそ大和の『漢』でち!」
(ああっ!たまにナショナリズムに熱の入る先生!今日の先生は男らしさ全開だわ!)
肉を詰め込むオーナーを応援する赤んぼ先生、それをうっとりと眺める
ツタフミ。
「別に残せばいいじゃない・・・」と、淡々と自分の料理をつつくのはオーナーの愛人であった。
つづく
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チェコは海の無い国なので伝統的には肉々しい料理が多いようです。
ナイフを突き立てて出すのがマナーらしいインパクト料理『豚膝肉のロースト』。
とても美味です。が、この料理は実際一人で平らげるべきものだったのか?
何とか完食いたしましたが、一夜あたりの摂取カロリーレコードを更新したと思われます。

プラハ城内の観光を続けるキヨ子(店外編69,70ほか)と行き倒れ(店外編3568ほか)。
何かと自信を無くしていた行き倒れは、教え上手のキヨ子先生により今ややる気満々である。
この時にはクラブこけしオーナーも合流しキヨ子先生の観光案内に加わっていた。
プラハ城4
「ここは『黄金の小道』と言って、かつて錬金術師が住んでいたのがその名の由来なのよ。
そしてあの青い家が、かの“カフカ”が一時創作に励んでいた家なのよ。」
「あの『変身』のカフカですかキヨ子先生。それは感激ですね。」オーナーが驚く。
「僕もカフカのファンです!ますますチェコが好きになってきました!」行き倒れのテンションも上がる。
不条理物語の作家であるが、根暗な二人には好評の様である。
こうしたキヨ子の観光運びは、オランダの件で凹んだ二人のやる気を取り戻すに見事な手腕であった。
プラハ城5
調子の出てきた彼ら確認するとキヨ子は微笑んで次のテーマに進んだ。
「じゃあ皆さん次はココ、チェコの伝統工芸『ボヘミアンガラス』のお店に行ってみましょう。
店員んさんとお話すればもっと生きた観光が出きるわよ!」
それを聞いたオーナーと行き倒れは急に固まってしまう。
「店員さんとコミュニケーションですか?!無理ですよキヨ子先生!相手は外人さんですよ!」
「外人はあなたよオーナー。それにその片言の英語でも十分大丈夫よ。」
「いえ、その、緊張で何も頭に入らないまま、愛想笑いが精一杯ですよ。なあ行き倒れ君よ。」
「ええ・・・僕も緊張で、手近な商品を『これ下さい!』と言って早くその場を去ろうとします、きっと・・。」
「勇気を出しなさいよ二人とも!?ここからが旅の醍醐味なのよ!」
キヨ子は説得を続けるも、二人のビビりぶりは彼女のセオリーの上を行くレベルであった。
呆れる一方でこの誤算を省み、自分の指導手順にもまだまだ改善の余地があると反省する、
現役の先生キヨ子であった。
つづく
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ボヘミアングラスは装飾的ですが、日本の切子のようで親近感はあります。
こけしと並ぶと和洋の民芸共演といった感じです。
日本なら興味を持って店で聞いてみるようなことも、
海外ではやはり言葉の壁が大きく立ちはだかってきます。
悔しいと共に、受けてきた英語教育に疑問を感じます。

チェコのプラハ城での学会参加を無事に終えた“キヨ子”(84話店外編69)は、
アシスタントとして一日を共にした“行き倒れ”(35話、店外編3568ほか)に話しかける。
プラハ城1
「行き倒れ君、今日は助かったわ。時間もあるし城内を少し観光案内してあげるわ。」
「はい、キヨ子先生!よろしくお願い致します。」
学会でのキヨ子の活躍にすっかり魅せられ、彼女を尊敬するに至った行き倒れである。
プラハ城内に建つ『聖ヴィート教会』に入り、キヨ子が行き倒れに言う。
プラハ城2
「どう?こういうゴシック建築の建物に入るとヨーロッパに来た!って感じがするでしょう。」
「はい。高い天井とステンドグラスから差す光の神々しさが、とってもヨーロッパらしいです。」
「そう、ゴシック教会建築は、神の威厳を空間に体現させた中世建築の到達点なのよ。」
「・・・でも何でしょう、宗教的な威圧感なのか、一神教の高圧的な感じが僕にはなじめません・・・。」
「そうね。確かに日本は宗教色が薄いし、かつ八百万の神々のいる寛容な国ですからね。」
「・・・はい、そんなわけで僕はヨーロッパが苦手です。やっぱり日本がいいです。」
プラハの街を見下ろす広場に出ると、心なし意気消沈する行き倒れにキヨ子は微笑んで言う。
プラハ城3
「行き倒れ君、実はこのチェコはヨーロッパでも異例な宗教観の国なのよ!」
「え、どういうことですか?!」
「かつてのカトリックとの戦争や、共産主義体制による宗教否定もあって、
今やチェコは無宗教な人が大多数を占める、そう正に日本のような国になったのよ!」
「そうだったんだ・・・僕、今までアウェイ感あったこの景色になんだか親近感が沸いてきました!」
元気を取り戻し、「もっとチェコのことを教えてください!」と意気込む行き倒れ。
流石はキヨ子先生。生徒をやる気にさせる事に長けた、教え上手な先生なのである。
つづく
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チェコの宗教観のちょっとしたトリビアでした。
ガチガチのキリスト教系の国かと思いきや、歴史的な紆余曲折の結果、
今や『精霊や仮想の力を信じる』という人が多数を占める、欧州でも異例の日本的国家のようです。
おそらく、こけしはそういった日本の寛容な風土が育んだもので、、
もしかしてチェコ版のこけしが発生する日も近いのかもしれません。

2年前のトルコ編(店外編1213)以来、再び日本を飛び出したクラブこけしオーナーとこけし達。
彼らがオランダを経由し遙々やって来たのは、東欧チェコ共和国の首都プラハであった。
プラハ1-1
『魔法の都』とも称えられる中世の香り残る街並みの中で早速ミーティングを開いていたのは、
“赤んぼ先生”(43話ほか)、ツタフミ(45話ほか)、そしてそして、
赤んぼ先生の恩師でもある我らが美魔女、“キヨ子”(69話)である。
今回はキヨ子のプラハでの学会参加に、オーナー始め他のこけし達がついてきたという形であった。
赤んぼ先生がキヨ子に心配そうに確認し始める。

プラハ1-2
「キヨ子先生、学会参加には私が付き添わなくて大丈夫でちか?」
「そうねぇ。せっかくのプラハだし、デート気分で赤んぼ君にやっぱりお願いしちゃおうかしら。」
「キ、キヨ子先生!がってん承知の助でちよ!」
恩師キヨ子にほのかな想いを持つ赤んぼ先生は、期待されテンションがおかしくなっている。
そのやりとりに不満げに割って入ったのは、赤んぼ先生の書生ツタフミである。
「ダ、ダメですキヨ子先生!今回は“行き倒れ”君をアシスタントにちゃんとつけているじゃないですか!」
「でもツタフミちゃん、彼オランダで何があったか知らないけどホテルでまだ寝込んでいるわよ。」
「待ってて下さい!私、叩き起こしてきます!赤んぼ先生もそれまで軽はずみに動かないで下さいよ!」
急いでホテルに走るツタフミを微笑んで見送っているキヨ子先生に、上気した赤んぼ先生が言う。
「キヨ子先生、私は本気でちよ!この身をかけてサポートするでち!」
「ウフフ、いいのよ赤んぼ君。ツタフミちゃんと観光を楽しんで頂戴。
それにしてもあの子、からかいがいがあるわね。」
キヨ子先生に翻弄されつつ、こけし達のプラハ観光は始まるのであった。
つづく
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このたびは東欧のチェコ共和国にやってきたのでした。
チェコは人形劇でも有名な国。土産物屋には木の操り人形が多く並んでいるせいか、
こけしを街中で出して写真を撮っていても結構違和感がないかもしれません。
ちなみに操り人形、これと思うものは高くて買えません・・・。
チェコ編、少し続きそうですがどうぞお付き合いください。

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