こけしブログ クラブこけし物語

クラブこけし物語と題したストーリーによって 所有するこけしを紹介

カテゴリ : 店外編:こけしの産地・温泉

新潟県糸魚川市の日本海側、筒石海岸を散策していた若先生とツタフミ・一子は、
若先生の先導で筒石集落へと移動。街並みを目にしたツタフミは驚愕の声を上げる。
筒石1
「す、凄い密度の木造家屋群!しかも三階建がずらり・・・!!
若先生、これは一体どういう状況なのですか!?何かの産業の集散地ですか?」
「全て通常の住宅が集まった漁村集落ですよ。私も最初は驚いたものです。」
「今でこそ木造三階建住宅は珍しくないかもしれませんが、
ここはどれも年季の入った家ばかり。しかもここまで建て込むなんてなぜ?」
「ここは通称『筒石の断崖下の街並み』と呼ばれています。
街の裏側には急峻な山並みが迫り、かつその向かいは日本海。
山と海に挟まれた家々はその敷地を活かすべく上へと伸びた結果なんですよ。」
「なるほど・・・、とはいえこの光景は圧巻ですね!」
筒石2
一同息を飲みながら街路を散策する中、一子が家々のある特徴に気がつく。
「若先生、玄関先の街路に面して流し場を備えている家が結構多いですね。」
「ええ、恐らく漁港街ということで、魚の処理等に便利なのかもしれませんね。」
「なるほど。」
「あとこれは推測ですが、この街並みは火災に対し大変に不利な構造と思われます。
水場が通りにあると、初期消火の観点から有効に協力しあえる様にも思われます。」
「確かに。街並みを維持していくと言うのは大変なんですね。」
「かくいう私も“若先生”の名を冠する手前、その維持は色々大変な部分があるのですよ!」
それを聞き一子がハッとする。
「若先生?!もしかして実は結構なお歳なので?」
若先生の、“名前と見た目の割に結構なオヤジ”疑惑を抱いていた一子が聞き返す。
「フフフ。詳細は秘密ですよ!ただこの名に恥じぬようには心がけたいものです!」
その心がけが上手く言っているのか微妙に思う一子であったが、
このちょっとした告白で、これまでの若先生の言動が多少腑に落ちた一子であった。
つづく
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この筒石の街並みに対する私の驚きも伝わりましたでしょうか。
ここまでの三階建て含む住宅密集地を正直見たことがありません。
観光地にもなっていませんが、まだまだ日本の街並み観光も侮れないものです。
ちなみに若先生と私は実は同い年!アンチエイジングに気を割く今日この頃です。

若先生と一行の新潟旅行、二日目は日本海へとやってきていた。
筒石集落前の海岸では、舟屋群を前に若先生が説明を行っていた。
筒石舟屋1
「どうですかツタフミさん、一子さん。なかなかの光景ではないですか?」
「若先生!こんな建物がまだ残っているんですね。」
朽ちつつはあれど日本海を背景に広がる舟屋群の光景に、ツタフミも一子も息をのむ。
筒石舟屋2
「筒石の漁港に実質の機能は移りましが、ここではその名残を見ることがでます。」
「若先生、フランス帰りだというのにこういうのもホントお詳しいんですね。」
「こうして船を吊るのは、かつて津波で船をさらわれた教訓かららしいですね。」
「それにしたって海に近すぎないですか。普段から危うい気がしますが。」
「いい質問ですツタフミさん。実は日本海は干満差が小さいんですよ。
だから結構こういった建物が海岸沿いに並ぶことが地域的にあるんですね。
以前‘行き倒れ’君が京都の伊根に行ってましたが、あそこもそういうことなんですよ。」
「へぇ〜。若先生、勉強になります。」
若先生の“実は結構オヤジ”疑惑を持つ一子も、その説明には素直に感心していた。
筒石の集落見学へと移動するため海岸を歩き始めた一行。
日本海を眺めつつ若先生は何やら鼻歌交じりである。それを聞いたツタフミが尋ねる。
「ご機嫌ですね若先生!今の『ラ・メール』ですか?フランスの海が恋しいんですね!」
「いえいえ、私の解説を君たちが素直に聞いてくれるので嬉しいんですよ。」
「若先生の講義はとても為になりますから!」今日もツタフミは楽しそうである。
しかし、一子は今日も気がついてしまう。
(違うわよツタフミ先輩。さっきの鼻歌、八代亜紀の『舟歌』だったから。)
若先生のオヤジ感に最早驚くことはなくなりつつある一子である。
その後も楽しそうに若先生に話しかけ続けるツタフミを見ながら、
(ツタフミ先輩、“女は無口なひとがいい〜♪”って若先生思ってるわよ。)
と思いつつ、『舟歌』の続きの鼻歌を引き継ぐ一子であった。
つづく
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筒石の舟屋群、なかなかの見ごたえでしたがメジャーな紹介はほぼされていません。
当然観光客もおらず、のびのび観光およびこけし写真が撮れました。
舟歌を上機嫌に口ずさんでいたのは当の私です。
次回はこれまたなかなかの見ごたえの筒石集落、お楽しみに。

赤んぼ先生一門の新潟研修旅行は、松之山温泉方面へと移動。
そして若先生・ツタフミ・一子が訪れたのは『美人林』。(赤んぼ先生は一足先に温泉へ)
大正末期に伐採された禿山に、一斉にブナが芽生え今日までおよそ100年。
木々の佇まいが美しいと評判になり、今や年間10万人が訪れるという景勝地である。
林の中ではその『美人林』の成り立ちについての講義を若先生が行っていた。
美人林
「そういうわけで、一斉に育ったブナはそれぞれ高さや幹の太さも揃って美しく、
ブナと言う樹種の瑞々しさも相まって『美人林』と呼ばれるようになったんですよ。」
「若先生は本当に何でもお詳しいんですね。」尊敬の眼差しでツタフミが応える。
「この林はツタフミさんや一子さんにとてもお似合いですよ。美人ですからね!」
「若先生ったらもう!」
例によってそんなやり取りを低い温度で聞いている一子。
若先生が時折発するダジャレにより、彼に対するオヤジ疑惑が拭えないのである。
「ところで皆さん、『美人林』と聞いて連想することはありませんか?」
「ええと、得には思い当たりませんけど?なんでしょう若先生。」
「私はですね、つい『美人局』(つつもたせ)を連想してしまうんですよ。」
(なんでやねん!っていうかやっぱり発想がオヤジだわ!)内心突っ込む一子。
「ああ確かに!字面が似ていますね!」感心しているツタフミ。
「美人局には気をつけたいものですね。くわばら、くわばらですよ。」
ご冗談をと笑うツタフミの横で一子は確信する。
(くわばらって・・・若先生、やっぱ結構なオヤジだわ。うん、決定。)
「余談ですが『美人局』は美人女子アナの多いテレビ局もつい連想してしまいますね。」
「若先生ったら、面白い発想ですね!」ツタフミは終始楽しそうである。
(まあ、若先生がオヤジだからって別にどうでもいいか)と一子は思いつつ、
美人女子アナの多いテレビ局という発想はちょっとツボに入ったという。
つづく
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ブナ林の中でのこけし写真、森の妖精感が出て何だかメルヘンです。
『美人林』とは不思議なネーミングセンスですが、結構人気のようです。
下は松之山温泉「凌雲閣」の部屋のおまけ写真です。(机にこけし)
天井には将棋盤や碁盤。自由な発想というか、中々な混沌です。
松之山温泉

赤んぼ先生の助手として新たに若先生(144話)を迎えたことをお祝いし、
赤んぼ先生と、その書生のツタフミ・一子達は新潟旅行を執り行った。
懇親目的ではあるが、それなりに新潟の歴史文化を学びつつの研修旅行である。
一行がまず訪れたのは柏崎市の山あいに位置する“荻ノ島環状集落”。
新潟1
山中に開けた田園を茅葺の民家が取り囲むという、情感に溢れた集落地域である。
秋晴れの空の下、改めての若先生紹介が赤んぼ先生により行われる。
「若先生は実はでちね、日本の民俗学的分野にも造詣が深いんでち。
というわけでこの集落については若先生から説明いただくでち。」
「若先生、ご教授お願いします!」ツタフミが真摯な眼差しを若先生に向ける。
そんなやり取りを見ながら一子は思うことがある。
(若先生、教養は確かなんだろうけど、ちょっとオヤジ臭いところあるのよね・・・
あのたまに出るダジャレ、ツタフミ先輩は気付いてないのかしら・・・。)
「では若輩ながら、私、若先生が荻ノ島環状集落について少し説明いたします。」
メモノートを手に、若先生を見るツタフミの目はキラキラ輝いている。
「実は明治の火事で集落の資料の多くが消失してしまい詳しくは不明なのですが、
貝塚や土器等が出土している事から、歴史は縄文まで遡ると思われます。」
「ああ若先生、まだお若いのになんて広い知識・・!」ギャップ萌にうっとりのツタフミ。
「長閑な環状集落の風景にも歴史がある事、意識しないといカンジョウ!」
(出た!)一子はハッとしツタフミを見るも、やはり彼女は気付かない様子である。
「はい!若先生!地域の歴史・文化を知る事は大事ですよね!」
「アサリ貝の貝塚は当時の情報を多く含むので、非常にアサリガイがあります!」
「貝塚から当時の生活が伺えるからですね。若先生、勉強になります!」
講義にノリノリのツタフミを見唖然とする一子。ふと赤んぼ先生に目を向ける。
「プププッ、“いカンジョウ”とは・・・!」こちらは大うけの様子。
一子の大きなため息は、秋晴れの空に吸い込まれていくのであった。
つづく
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荻ノ島環状集落はそこまでメジャーではないと思われますが、
生きた景色としてこういった地域があることに感銘を受けました。
天気も良いのでこけしの写りも上々です。

温泉地で一泊後、南部こけし一行は市内の岩手銀行赤レンガ館の観光を楽しんでいた。
もちっ娘に良く思われたいキンゾウは、昨日に続きこの日も行き倒れに‘ぶって’いる。
「だからな、煉瓦造の建物ってのは地震の多い日本には適さないわけよ。」
「はぁ、そうなんですねキンゾウさん。」
「ばっかお前、日本で暮らす者としてそれくらい知らなきゃ女にもてねぇぞ。」
もちっ娘は思う(キンンゾウさん、今日もこっちをチラチラ見ながら‘ぶってる’わ。
いくら良い事言っても‘ぶってる’感が逆にカッコよくない事に気付かないのね・・・)
そんなとき、赤い紅葉の様な胴模様の娘が突然口を挟んできた。盛岡3
「んー、今の話、エイキチ的には良いんですけどEIKICHI的にはいかがなものかと。」
「ええと?急になんですか?どちら様ですか?」キンゾウがムッとして聞く。
「おっと失礼、私エイキチと申します。今の話、近年は鉄筋を通す等、
建築技術の進歩で日本でも煉瓦造を初めとした組積造は見直されているんですよ!」
「そ、それくらい知ってらい!これから言おうと・・・もちっ娘ちゃん、あっちいこう。」
なんだがバツの悪くなったキンゾウはその場を移動した。
川沿いの蔦の這う風情ある喫茶店『ふかくさ』前でキンゾウは再び話し始める。盛岡4

「ツタの這う家って風情あるよな、なあ行き倒れ。ツタで建物の断熱性も上がるんだぜ。」
「はぁ、そうなんですねキンゾウさん。」行き倒れも正直面倒臭くなっている。
「んー今の話、やはりEIKICHI的にはいかがなものかと。ツタは良い面ばかりでなく、
虫を呼び寄せたり、ツタの気根が外装の劣化を招いたり結構大変なんですよ。」
「まだいたのかよお前。さっきからその“EIKICHI的には”って何なの?」
メタ認知理論の話ですよ。ご存知ですか?知らなければ説明しますが。」
「メタニンチ?あ、あれね!例のあれでしょ!メタニンがその・・豊富なやつね?」
(ああ、キンゾウさん分かってないわ。なんだか良い気味ね。それにしても興味深い子。)
その後エイキチ(後のモミジ)ともちっ娘は意気投合し、もちっ娘の誘いもあり、
後日エイキチはクラブこけしの面接にも来るという流れになったのであった。

つづく
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盛岡観光の記念で買った“モミジ(エイキチ)”を早速写真に撮ったりしました。
元は鳴子の系統とはいえ、さっぱりなるのが南部こけしの特徴か、
並べるとみんな同じ地域の仲間といった感じですね。
2度目の盛岡市内観光、常に満腹を抱えた楽しいものとなりました。

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