雨に見舞われたクラブこけし一行の金沢市内観光
傘をさしながらも市内の名所や、土産物屋などを見て回った。
一通りの観光後、豆タンクが思い出したかのように提案する。
「そうだ、雨男のオーナーにうってつけの場所があるっす!」
「私は雨男ではないが、それはどこかな?」
「インパクト大っすよ。着いてくるっす!」
こうして一行は豆タンクの案内でとある風情ある建物前へとやって来た。
あめ1
「どうっすかこのインパクト!雨男のオーナーも篤とご覧あれ!」
「むむっ!確かにものすごい“あめ”インパクト。」
清々しい程の“あめ”の暖簾を掲げるのは、昔ながらの水飴等を売る老舗『俵屋』。
あめ2
「それにしても豆タンクちゃんて金沢に詳しいわよね。」サクタが疑問に思い尋ねる。
「この暖簾もそうっすけど、金沢の何とも豪気な感じが肌に合うっすよ。」
「確かに加賀百万石の絢爛さの名残かしら、華やかよね。」コシンヤもうなずく。
しかし雨男の誹りを受け続けたオーナーはひねくれていた。
「そうかねぇ、今日一日色々と見て回ったがね、それはいかがなものかのう。」
「何よ、何か不満でもあるの?」コシンヤがオーナーを睨む。
「花街然り、九谷焼も金箔文化も然り、奥ゆかしくないというか派手というか・・・、
まぁ言ってしまえば、都に憧れる田舎のお殿様文化って感じかな!」
ひねくれ気分で暴言を放ったオーナーにこけし娘一同ドン引いている。
オーナーの発言でプルプルと震えていた豆タンクがぼそりと呟く。
「天罰を与えるっす・・・」
「ん?なにか言ったかな豆タンクちゃん。」
「え?何でもないっす!明日もあるし早計な結論はだめすっすよオーナー!」
意味深な呟きを残した豆タンク。果たしてオーナーに天罰は下るのか。
翌日、一行は金沢市内を飛び出し能登方面へと向かうのであった。
つづく
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半日程度の滞在で失礼な金沢の感想を述べていたオーナーではありますが、
江戸時代に是非訪れてみたかったなと、過ぎし日に思いを馳せるところです。
俵屋さんは盛りのエリアから少し外れているのですが中々の見応えです。
いずれにしろ、過去の名残りより生きた今の方に私はときめきます。