こけしの活動をバックアップする業界団体の会長を務めるイクさん(店外9他)は、
同僚で同郷出身のこけし娘と共に、親睦ツアーとして長野県野沢温泉を訪れていた。
野沢2
野沢温泉には『麻釜(おがま)』という温泉を利用した地元民共同の炊事場があり、
それを目にしたイクさんは驚きの表情で打ち震えている様子であった。
野沢1
「ま、まさか温泉のお湯で野沢菜洗いができるなんて・・・!」
共にツアーに来ていたキク(本編146話)が答える。
「野沢温泉村の名物ですよ。それが何だっていうんですかイクさん?」
「何言ってんのキクちゃん!?漬物の仕込みにお湯が使えるのよ?」
「そのようですね。そんなことより早く野沢菜漬け食べにいきましょうよ。」
「あなた全然解ってないわねキクちゃん。ねぇクラ子さん、これは問題よ。」
同じくツアー参加で、イクさんと付き合いも長いクラ子(本編88話)が同調して言う。
「キクちゃんよく聞いておきなさい。これからイクさんが冬場に冷水で漬物を仕込むのが、
霜焼けやら垢切れをこさえながら、どれだけしんどいのか話してくれるからね。」
「そ、その通りよ。まあ、とりあえずクラ子さんが言ってくれればそれはいいわ。」
「話は終わりですか?じゃあもう早く野沢菜食べに行きましょうよ!」
「ちょっと待ったキクちゃん、やっぱまだよく解ってないわね。お漬物を始め、
田舎で食を得ることの苦労が。ちょっとこれは説教ね。ねぇクラ子さん。」
「その通りですイクさん。キクちゃんよく聞いておきなさい。これからイクさんが、
貧しいながらも頑張ってイナゴや蜂の子を採って食べていた話をするからね!」
「そうなんだけど・・・、クラ子さん先に言っちゃうから続け辛いわね。」
「あ、すいませんイクさん。気になさらず詳細をどうぞ!」
「まぁ・・・とりあえず今はいいわ。野沢菜漬けを食べにいきましょうか。」
イクさんは若い者に説教したがりで、その話はすごく長いことで有名である。
その出鼻を挫くというクラ子のファインプレーに、心からの拍手を送るキクであった。
そもそも野沢菜漬けを早く食べたかったのは、他でもないクラ子その人であった。
つづく
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野沢菜漬けはよく手伝わされたものですが、それはまあ手の悴む作業でした。
それが温泉で行えるとは、、同県人ながらうらやましいことです。
そんな温泉文化や多くの共同浴場もあり、野沢温泉は温泉地としても大満喫でした。
こけし文化もあれば完璧だったのに、などと都合のいいことを思っておりました。