クラブこけしオーナーの愛人が営むこけしのモデル事務所でのこと。
でこぱっち(店外36他)と、最近所属した“清見”というこけし娘が話していた。
清見とでこぱっち
「あー、目がシバシバする。この時期は花粉で本当に大変よ。」
「それ花粉のせいだったの清美ちゃん?でも年中そんな目してるじゃない。」
清美の目や眉は、しかめたようなクセのあるラインなのである。
「だから年中花粉症なのよ。私の一族は皆そう。杉やヒノキ以外にも、
夏はブタクサ、秋はススキ、とにかく一年中なのよでこぱっちちゃん。」
「じゃあ冬とか花粉の飛ばない季節はそんな目つきじゃないの?」
「そうよ。冬場のいっときだは、眉シャッキリ、お目々もぱっちりよ。」
「そうだったんだ・・・何だか清美ちゃんの一族って大変ね。」
アレルギー体質の一族を不憫に思う一方、でこぱっちは清美に嫉妬するものがあった。
「でもさあ清美ちゃんて、名前が美しいよね。名字もあるんだっけ?」
「うん、大泉ね。」
「“大泉清見”!!何なのよその綺麗な名前!凄い清涼感!私なんて“でこぱっち”よ!」
名前コンプレックスを持つでこぱっちは、清美の名前が羨ましいばかりである。
「清美ちゃん。もしだけど花粉症治るのと、名前が”でこぱっち”になるのどっちを選ぶ?」
「そりゃあ花粉症治る方かな。それに“でこぱっち”なんてカワイイじゃない。」
「よし、じゃあ決定!これからクラブこけしのオーナーのとこに行こう!
“でこぱっち”の名付け親の彼に、まず私と清美ちゃんの名前入れ替えてもらおう!」
「え?!何言ってるのでこぱっちちゃん?」
「花粉症は私が全力で治療に付き合うから!それでいいよね?」
「ちょ、花粉症はそんな簡単には、そうだ、私医者行って薬もらわなきゃ!」
「清美ちゃん、やっぱ”でこぱっち”嫌なんじゃん!」
「そ、そんなんじゃないけど、あ、時間だわ、じゃあねでこぱっちちゃん!」
名前の交換などできないと高を括っていた清美だが妙な現実味を帯びるにあたり、
そそくさとその場を去る、実は結構自分の名前を気に入っている清美であった。
つづく
清見jpg
○渾名:清見(弥治郎系)
○工人:大泉清見
=====================
本田家系統の弥治郎こけしが持つ独特な目つきおよび眉つき。
独特の下瞼の線はありませんが、大泉清見工人の一本で気に入るものがありました。
しかし名前の響きの素敵な工人さんですね。女性とばかり思ってましたが男性でした。
この方も若くしてお亡くなりになられたとのこと、なんとも口惜しいものです。