新年初回なので、ちょっと一息の余談をさせていただければと思います。
伝統こけし集めとは、当然ながら何でも集めたいという訳ではなく、
“こんなこけしがほしい!”と何かしらのイメージを持ち、皆臨んでいると思います。
系統、作者(工人)、年代、サイズ、彩描、値段、、様々な理想形がある中、
総合的にバランスが良いこけしとの納得の出会いを望んでいます。
この理想形のバランスにおいて、“このパーツは絶対に外せない!!”といった、
デザイン上の比重が以上に高かいパーツを備えたこけしが私にはありました。
顔立ちや雰囲気等の大まかなものではなく、本当に部分的なデザインの話なのです。
(それを踏まえてのバランスは大事なのですが。)
そんな決め打ちの主観のもとそれに合致し、私が晴れて出会えたこけしと、
そのパーツとは一体何だったのか!?切りの良いところで10種、ご紹介します。

1、カニ菊のカニ!
カニ菊のカニ
蟹菊とも呼ばれるこの胴模様が、如何に“蟹”っぽいかにこだわりました。
というか、実演会で工人さんにお願いして描いてもらいました。
ちなみにカニ子はこれが本当に蟹なのですが、行き過ぎかなと思ったりしています。

2、梅子の梅!
梅子の梅
この梅の枝に対する神経質さは驚異です。
大野栄治工人の性格がおおらかであることを願う程、見ていて心配になります。
最近外に連れだしたので、また後日ご紹介をお楽しみに!

3、ベトナムの謎の菊!
ベトナムの謎の菊
どこかのアジアの文字のような菊模様。命名もそこから来ています。
青森に遊びに行った際、長谷川健三工人に注文したものです。

4、のど自慢のチューリップ!
のど自慢のチューリップ
そんなあっけらかんとした同模様があるの!?と意表をつかれた感じでした。
こけしの表情も相まって、スタンドマイクのごとき存在感を感じての命名です。

5、ワラビの蕨!
ワラビの蕨
やっぱりこれじゃなきゃね!という独特な有路こけしの胴模様モチーフ。
仙台は定規山のお店で蕨がニョキニョキと居並ぶ光景は、ある種の生命力を感じます。

6、ゴットハンドの手!
ゴットハンドの手
もう何も言うことはありません。手が出ちゃっているのです。
最早見て見ぬふりのできない一本なのです。

7、マント親子のマントとヘルメット!
マント親子のマント・ヘルメット
マントは分かるとして、ヘルメットをかぶるのはどういう状況でしょうか。
北風小僧の寒太郎のように、空を飛ぶといった前提での安全上の対策と推測します。

8、ギュンギュンの眉
ギュンギュンの眉
大内慎二工人の作には時折もの凄く眉力の強い作が見受けられ、どうせなら強烈な奴を
と探していたところ、凄いのがいました。ギュン!とした眉による命名です。

9、ベンガラの髪留
ベンガラの髪留
我妻勝之助の型のこの独特な赤い髪留により、入手前からベンガラと呼んでいました。
ちなみにベンガラとはインドのベンガル地方にちなんだもののようですね。

10、ピヨピヨの鬢!
ピヨピヨの鬢
毛束が後ろに流れた感じがヒヨコの羽のように見えての命名です。
私の性癖に関係するのでしょうか、何だか好きなんです。
遊佐妙子工人の本人型なのですが、訪ねてお願いした程の思い入れの強い一本です。

といった所で、あくまで私の主観によるご紹介でした。
こけしの命名に全てこだわりのパーツが反映されています。
こけしが好きになり、多少詳しくなっていくと気になりだす観点だと思います。
私などはその観点もまだまだ浅い方とは思いますが、密かな思いを胸に、
今年2020年もこけし達との素敵な出会いを期待するところです。