師走も押し迫ったその日も、クラブこけしの台所は大忙しであった。
「この時期の忙しさは異常ね!まんさくちゃん(店外33他)、そっち火加減どう?」
「は〜い、めし炊き姉さん(20話他)!」こなれた動きでをサポートするまんさく。
「ほんとウチも年々大所帯になって・・あ、セチ子ちゃん、お皿出してくれる?」
「は、はい!こ、こっちのお皿でいいですか?」
セチ子とめし炊きとまんさく
まだたどたどしい動きで必死に台所を駆け回っているのはセチ子。
年末の忙しさを予期し、めし炊きが採用した新人である。
「セチ子ちゃん表情が硬い硬い。リラックスしないともたないわよ!」
「そうよセチ子ちゃん!料理は愛情!そして笑顔よ!」
「は、はいぃっ!」
おせち料理がそれなりに得意ということで採用されたセチ子だが、
まだ日が浅く台所の勝手や、環境に慣れていないため動きは硬く、
その表情は何かストレスに耐え得ているかのような切ないものとなっていた。
そんな光景を傍から眺めていたのは、クラブこけしのネガティブ3人組、
ゴヘイ(48話他)、ボクッ娘(74話他)、Q(店外123他)であった。
セチ子とQとボクッ娘とゴヘイ
「セチ子ちゃんだっけ。名前の通り世知辛いって訴えてるような表情ね。」
「仕方ないよ。この時期他の皆はイベントを楽しんでいるのに、準備側なんだから。」
「そりゃ世の中恨めしいって顔にもなるわよね。絶対にあの娘、私達の側の娘ね。」
ネガティブな3人の勝手な解釈により一方的に同情され始めるセチ子。
そんな中、近くを通りかかったオーナーがセチ子に声をかける。
「セチ子ちゃんガンバなのだよ!今年のブログの大トリなのだよ!」
声を聞いたセチ子は一瞬微笑むと、また難しい表情に戻り仕事に集中し始める。
「良く分からないけど大トリだってセチ子ちゃん。ちょっと救いがあってホッとしたわ。」
こうして勝手な解釈の3ネガ娘は、その後セチ子とは親しくなっていったというが、
当のセチ子は実際何を思っているのか、その表情から読み取るのは難しいという。
つづく
セチ子
○渾名:セチ子(遠刈田系)

○工人:佐藤文男
=====================
グッとくる表情のやつを一本!と常々思っていた丑蔵型の一筆目こけしですが、
佐藤文男さんの作に納得でした。世知辛そうな表情なのでセチ子です。
切なげな表情が見るものの気持ちを写すようでなんともたまりません。
といったところで本年最後の更新となります。
皆様が良いお年を迎えられるよう、こけしを乾拭きしつつお祈り申し上げます。