若先生と一行の新潟旅行、二日目は日本海へとやってきていた。
筒石集落前の海岸では、舟屋群を前に若先生が説明を行っていた。
筒石舟屋1
「どうですかツタフミさん、一子さん。なかなかの光景ではないですか?」
「若先生!こんな建物がまだ残っているんですね。」
朽ちつつはあれど日本海を背景に広がる舟屋群の光景に、ツタフミも一子も息をのむ。
筒石舟屋2
「筒石の漁港に実質の機能は移りましが、ここではその名残を見ることがでます。」
「若先生、フランス帰りだというのにこういうのもホントお詳しいんですね。」
「こうして船を吊るのは、かつて津波で船をさらわれた教訓かららしいですね。」
「それにしたって海に近すぎないですか。普段から危うい気がしますが。」
「いい質問ですツタフミさん。実は日本海は干満差が小さいんですよ。
だから結構こういった建物が海岸沿いに並ぶことが地域的にあるんですね。
以前‘行き倒れ’君が京都の伊根に行ってましたが、あそこもそういうことなんですよ。」
「へぇ〜。若先生、勉強になります。」
若先生の“実は結構オヤジ”疑惑を持つ一子も、その説明には素直に感心していた。
筒石の集落見学へと移動するため海岸を歩き始めた一行。
日本海を眺めつつ若先生は何やら鼻歌交じりである。それを聞いたツタフミが尋ねる。
「ご機嫌ですね若先生!今の『ラ・メール』ですか?フランスの海が恋しいんですね!」
「いえいえ、私の解説を君たちが素直に聞いてくれるので嬉しいんですよ。」
「若先生の講義はとても為になりますから!」今日もツタフミは楽しそうである。
しかし、一子は今日も気がついてしまう。
(違うわよツタフミ先輩。さっきの鼻歌、八代亜紀の『舟歌』だったから。)
若先生のオヤジ感に最早驚くことはなくなりつつある一子である。
その後も楽しそうに若先生に話しかけ続けるツタフミを見ながら、
(ツタフミ先輩、“女は無口なひとがいい〜♪”って若先生思ってるわよ。)
と思いつつ、『舟歌』の続きの鼻歌を引き継ぐ一子であった。
つづく
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筒石の舟屋群、なかなかの見ごたえでしたがメジャーな紹介はほぼされていません。
当然観光客もおらず、のびのび観光およびこけし写真が撮れました。
舟歌を上機嫌に口ずさんでいたのは当の私です。
次回はこれまたなかなかの見ごたえの筒石集落、お楽しみに。