温泉地で一泊後、南部こけし一行は市内の岩手銀行赤レンガ館の観光を楽しんでいた。
もちっ娘に良く思われたいキンゾウは、昨日に続きこの日も行き倒れに‘ぶって’いる。
「だからな、煉瓦造の建物ってのは地震の多い日本には適さないわけよ。」
「はぁ、そうなんですねキンゾウさん。」
「ばっかお前、日本で暮らす者としてそれくらい知らなきゃ女にもてねぇぞ。」
もちっ娘は思う(キンンゾウさん、今日もこっちをチラチラ見ながら‘ぶってる’わ。
いくら良い事言っても‘ぶってる’感が逆にカッコよくない事に気付かないのね・・・)
そんなとき、赤い紅葉の様な胴模様の娘が突然口を挟んできた。盛岡3
「んー、今の話、エイキチ的には良いんですけどEIKICHI的にはいかがなものかと。」
「ええと?急になんですか?どちら様ですか?」キンゾウがムッとして聞く。
「おっと失礼、私エイキチと申します。今の話、近年は鉄筋を通す等、
建築技術の進歩で日本でも煉瓦造を初めとした組積造は見直されているんですよ!」
「そ、それくらい知ってらい!これから言おうと・・・もちっ娘ちゃん、あっちいこう。」
なんだがバツの悪くなったキンゾウはその場を移動した。
川沿いの蔦の這う風情ある喫茶店『ふかくさ』前でキンゾウは再び話し始める。盛岡4

「ツタの這う家って風情あるよな、なあ行き倒れ。ツタで建物の断熱性も上がるんだぜ。」
「はぁ、そうなんですねキンゾウさん。」行き倒れも正直面倒臭くなっている。
「んー今の話、やはりEIKICHI的にはいかがなものかと。ツタは良い面ばかりでなく、
虫を呼び寄せたり、ツタの気根が外装の劣化を招いたり結構大変なんですよ。」
「まだいたのかよお前。さっきからその“EIKICHI的には”って何なの?」
メタ認知理論の話ですよ。ご存知ですか?知らなければ説明しますが。」
「メタニンチ?あ、あれね!例のあれでしょ!メタニンがその・・豊富なやつね?」
(ああ、キンゾウさん分かってないわ。なんだか良い気味ね。それにしても興味深い子。)
その後エイキチ(後のモミジ)ともちっ娘は意気投合し、もちっ娘の誘いもあり、
後日エイキチはクラブこけしの面接にも来るという流れになったのであった。

つづく
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盛岡観光の記念で買った“モミジ(エイキチ)”を早速写真に撮ったりしました。
元は鳴子の系統とはいえ、さっぱりなるのが南部こけしの特徴か、
並べるとみんな同じ地域の仲間といった感じですね。
2度目の盛岡市内観光、常に満腹を抱えた楽しいものとなりました。