まだ桜の頃、クラブこけしの無類のアイスクリーム好き“アイス”(店外39他)と、
胞子のようにフラフラとクラブこけしに舞い込んだ“ワラビ”(店外113131話)は、
その日は揃って日暮里駅近くの、桜咲く谷中霊園内を散歩していた。
「ワラビちゃんいつもぼんやりしてるから分かり辛いけど、同郷の私には分かるわよ!」
「・・・なんだか、ウズウズするの・・・体に力が湧くような・・・」
「だよね!この芽吹きの季節、私の胸のバラもウズウズするんだから、
ワラビちゃんの蕨なんか尚更でしょ!」
「桜とか春の草花達から・・・何だかエネルギーが流れ込んでくるの・・・!」
春のエネルギーを得るべく、アイスはワラビを誘い桜咲く谷中霊園を訪れたのであった。
谷中霊園
「でもここ一応霊園だから、変なエネルギーは取り込まないでね。
ワラビちゃん、ぼんやりしてるから何だか心配だわ。」
「・・・だいじょうぶよアイスちゃん、流石にそれは・・・おっ、おふっ!」
ワラビが急にビクビクとし始める。
「何!?どうしたのワラビちゃん?大丈夫?!」
「・・・西郷よ!大政奉還じゃ!余は大政を奉還するぞ!」
「何言ってるのワラビちゃん?大政奉還って・・・まさか、徳川慶喜!?」
「いかにも、余は徳川慶喜。大政奉還をしようと思うのじゃ。」
「谷中霊園に眠っている慶喜公が、もしかしてワラビちゃんに憑いちゃったの!?」
「その通りじゃ。大政奉還をすると何かと良いと思うのじゃ。」
「それにしたって、さっきから何だか話が浅くない?本当に慶喜公なの?」
「疑っておるな?!余はこの者の体を借りて・・・おっと時間じゃ、サラバ!」
再びビクつくワラビを怪しそうな目でアイスは見ている。
「・・・あれ、ここはどこ・・・?あ、アイスちゃん、今私何か言ってた?」
「・・・ワラビちゃんて、意外と面白いセンスもっていたのね。」
憑依の真偽は定かでないが、そこにアイスは突っ込まないまま、
二人は楽しく花見を続けたのであった。
つづく
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著名人も多く眠る谷中霊園ですが、徳川慶喜もその一人のようです。
ちょっと前までNHK『せごどん』を見ており、付け焼刃で学んだところでした。
霊園での花見は場所柄どんちゃん騒ぎが起きないので静かに楽しめますが、
そこでこけし写真を撮るのが罰当たりではないかといえば、なんとも微妙です。