二人が訪れたのは東京下町の風物詩、入谷の朝顔市。まだ朝の6時半である。
早朝にも関わらず、入谷鬼子母神前はすでに朝顔の屋台と人々で賑わっていた。
それまで眠そうにしていた笠子だが、その光景にぱっちりと目を覚ました。
「朝顔ちゃん!まさか本当にこの時間からこんな混んでいるとは思わなかったよ!」
「信じていなかったのですか?朝6時にはもう混むと何度も言ったのに。」
「てっきり朝顔ちゃんが珍しく冗談を言ったと思ったのよ。」
「私はそういう冗談は言いません。」
笠子も真面目な方だが、朝顔は輪をかけて真面目で通っている、そんな二人である。
「ところで朝顔ちゃん、『ダンジュウロウ』て店の人が言ってるけど何かしら?」
「説明いたしましょう。朝顔で言う『団十郎』とは小豆色をした人気の朝顔です。
江戸時代、二代目市川團十郎が歌舞伎の演目で用いた衣装の色が由来です。」
「へ〜。さすが朝顔ちゃん、帯の模様にしているだけのことはあるわね。
ところで朝顔ちゃんって、いつも真面目だけど冗談とか言うことってあるの?」
ところで朝顔ちゃんって、いつも真面目だけど冗談とか言うことってあるの?」
「失礼ですね。私だって人々の笑いのツボくらい抑えていますよ。」
「じゃあ私が笑うようなこと言ってみてよ。出来たらかき氷おごってあげる。」
「いいですよ。じゃあ早起きした事だし、え〜、早起きは三文の徳などと申しますが、
さてここは奈良は三条横町の豆腐屋の六兵衛さん、今朝も早くから豆腐作りに・・・」
「待った待った。朝顔ちゃん、まさか落語始めたんじゃないでしょうね?」
「そうですよ。面白いから笠子ちゃんもきっと笑いますよ。」
「・・・プッ、ウププッふふ!やっぱり朝顔ちゃんは面白いわ。」
「?、まだ笑う所じゃないですよ?でも私の勝ちですね。」
想定の斜め上を行く発想により、本人の意図とは別の次元で笑いをとる朝顔。
そんな彼女を笠子ほか多くが愛してているのであった。
そんな彼女を笠子ほか多くが愛してているのであった。
つづく
=====================噂には聞くも早朝という時間帯に出渋っていたイベント、入谷朝顔市。
気合を入れて行ってみると、噂どおり朝7時前から結構な活気です。
こんな早朝から下町の方々は『粋』だなあと、なんとも感じ入ってしまいました。
朝顔ちゃんの父、小野寺正徳工人(7/24逝去)のご冥福をお祈りいたします。
朝顔ちゃんの父、小野寺正徳工人(7/24逝去)のご冥福をお祈りいたします。
コメント
コメント一覧 (2)
笠子ちゃん、花色は所謂「定番」でも、「茶台咲き」「桔梗咲き」「風鈴咲き」等、面白い花型の朝顔が沢山あったでしょう?貴女はどれがお気に入りですか?
閑話休題。この道中に高橋定助作の「朝顔キモノちゃん」が加わっていたりしたら、もうビジュアル面で完璧な「朝顔三人娘」が出来上がっていたことでしょう。…それにしてもあのコのキモノの朝顔って、正直大きな臍みたいで面白過ぎ!でありますね♪朝顔ちゃんが赤面して「キャー!ハシタナ~イ(汗×2)」なんて言うかも(ニヤリ)
HITOSHI「こちらHITOSHI。どうしたSAIKICHI。」
SAIKICHI「クラブこけしオーナーが浅い知識を元に話を作った模様。」
HITOSHI「詳しく説明せよ。」
SAIKICHI「団十郎朝顔について適当な説明をした模様です。」
HITOSHI「あー、それはだめだよSAIKIっちゃん。あれは奥が深いよ。」
SAIKICHI「だよねー、うっすら危なっかしいと思ってたんだよね。」
HITOSHI「これについてはウチのご主人ぐらいにならないと語れないものよ。」
SAIKICHI「なのにオーナーったらまったく・・・」
クラブこけしオーナー「ちょっと待ちなさい。何かねこの劇中劇のようなメタ的やり取りは?」
HITOSHI「まずい!オーナーに超次元こけ無線ハッキングされたわ!またねSAIKIっちゃん!」
SAIKICHI「了解HITOSHI、オーバー!」
オーナー「・・・・次元を超えた活動範囲、すごい二人!」
という訳で、ほんとサラサラっと眺めただけなんですよ!「うわ~、朝顔がいっぱーい!!え、これ団十郎ていうの?なんか地味~。しかし眠い!」これが私の朝顔市の感想でございます。こけっとりさんの造詣の深さを感じるに、超次元こけ無線で窘められるほどお恥ずかしいところです。そして定助こけし!この採描のタッチにはこけしファンの日も浅い当時度肝を抜かれ、店の人に「この作者は本気ですか?」と聞いたほどでした。言われて久しぶりに気にしてみたら、確かにこれぞ朝顔という胴模様ですね!そんな気付きをいただけただけでも何だかとても有意義です。