クラブこけしのオーナーが暇な時に行うのが“東京再発見”と称した勝手な都内観光。
今回やって来たのは中央区の佃。佃煮発祥の地と言われる東京の下町である。
同じく暇で付いてきたのは“ボクッ娘”(134話他)と“Q”(136話)の木地山娘二人。
後ろ向きな性格の二人が、赤い佃小橋とタワーマンションを背景に話をしている。
佃1
「ボクッ娘ちゃん、タワマンってさ、見てると何だか遣る瀬無い気持ちになるよね。」
「分かるわQちゃん。この下町の風景との対比でなおさらだよね。」
「何かこう、勝利者に見おろされているというか・・・」
「うんうん。そしてそんな建物の存在が否が応にも目に入ると言うか・・・」
二人の話ににオーナーが割って入る。
「二人共、妬むのはやめなさい。妬みは羨望の裏返しなのだよ。」
「オーナーが何だか余裕なこと言ってるわね。ねぇボクッ娘ちゃん。」
「貧乏だから単に諦めているだけよ。」
「失礼な!宝くじを当てていつか・・・」オーナーを無視し二人の会話はつづく。
「私達人間じゃないし別に住みたい訳じゃないのよ。何でこんな気持ちになるのかしら。」
「それはねQちゃん、あの神々しい立ち姿と、羨望の対象であるという事実のせいよ!」
「ええと、つまり・・・どういうことなの?」
「つまり、私達は地味だってことよ!こけし界のタワマンではないのよ!」
「やっぱりか。確かに私達はタワマンってよりも下町的な存在よね。」
「だからって諦めちゃだめよQちゃん。要はギャップなのよ!」
「ギャップ?」
「そう。下町の風景にタワマンが浮き立つように、私達が輝けるのは・・・パリよ!」
「パリ!?・・・なるほど、私達の和風で地味なムードは逆にそういうことなのね!」
「というわけでオーナー私とQちゃんをパリに連れて行って!」
「貧乏で諦めたオーナーなので無理である。」
唐突なオファーを断るオーナーだが、そうかと思いつつ二人の話は聞いていたのであった。
つづく
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佃はタワーマンションの風景も含め、今やその対比が感慨深い風景となっています。
海外旅行の際こけし写真()を撮るのもこうしたギャップを楽しんでのものです。
木地山こけしは特に和テイストが強いので、機会があれば検証したいところです。
佃ではしっかり佃煮も買い、ご飯でおいしくいただきました。
佃2
↑老舗佃煮屋さんとボクッ娘とQ