クラブこけしのひで子(店外編48他)のもとに友人の“みつ子”が遊びに来ていた。
小柄ながらも落ち着いた雰囲気の娘で、ひで子の話に穏やかに相槌を打っていた。

みつ子とひで子
「今年の桜はあっというだったわねみつ子ちゃん。」
「そうでしたねぇ。でもそれも桜らしいかもしれませんねぇ。」
「今でこの暑さだと今年の夏は例年以上に暑くなるんだってね。」
「それは困りますねぇ。でもそれはそれで夏らしいかもしれませんねぇ。」
相手の話をまず受け止め、気持ちを汲むようにやんわりと受け答えるみつ子。
伏し目がちに話すその姿勢に、相手はリラックスした気持ちになるのであった。
二人のやり取りを近くで聞いていたのはクラブこけしオーナー。
自分も癒やしてもらおうと、彼もみつ子に話しかけるのであった。
「みつ子ちゃん、ウチで働いてみる気はないかな。その物腰ならすぐに人気者なのだよ。」
「どうしたものでしょうねぇ。私にはもったいないお話ですねぇ。」
他愛もない会話は続き、みつ子の受け答えに上機嫌になっていくオーナー。
「何だか気分がいいのう!今宝くじでも買ったら当たる様な気がするのだよ。」
「それは無いです。日頃努力もしない人が気分で買ってもそうは問屋が下ろしません。」
「え!?」
突然みつ子が否定的かつ辛辣な受け答えに変わる。びっくりするオーナーにひで子が言う。
「オーナー当たりが出ましたよ!」
「当たり!?」
「みつ子ちゃん、突発的に辛辣になるんです!私“当たり”って呼んでるんですが、
なかなか出ませんよ!このギャップがみつ子ちゃんと話す面白さなんですよ!」
「すいませんオーナーさん。極稀に発作的に出てしまって・・どうか気になさらず。」
「すごい癖だのう・・・しかし、本心なのかな・・・。」
多少自覚があるだけに地味に傷ついたオーナーであった。
つづく
みつ子
○渾名:みつ子(津軽系)
○工人:
盛美津雄
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この伏し目タイプも盛家のこけし独特の目の表情の一つです。
口元がほこほころんでいるせいでしょうか、眠りこけし的に寝ている感じではなく、
「そうですねぇ~」と相槌を打ちつつ、話を聞いてくれているような気がいたします。
見ていると結構リラックス効果がある、そんな一本です。