昨年末の事、恒例の年末温泉旅行でクラブこけしオーナーがやってきたのは箱根温泉。
そして今回付いてきたこけし娘は“さくらんぼっ娘”と“ピピィ”(129話)。
二人とも箱根温泉で叶えたい願いがそれぞれにあっての旅行参加であった。
温泉街の老舗『菊川商店』では、名物の饅頭焼き機前でさくらんぼっ娘はご満悦である。
箱根1
「ここの饅頭を店頭で食べるのが念願だったのうよう!何個でも行けるわね。」
「この機械が何だかレトロで良いわよね。でもさくらんぼちゃん、食べ過ぎじゃない?」
「ピピィちゃん、この犬のパンパンの腹を見てよ。私なんてまだスリムなもんよ。」
「オマエハ顔ガ、パンパンダワン!」
「うるさいわね、てかアンタ喋れたのね・・。でピピィちゃん今回何がしたいの?」
「ウフフ、オーナーと二人で旅館でやることがあるのよ。その時は覗いちゃ駄目よ。」
「なんだかいやらしい響きね・・・。」こうして一行は旅館へと移動した。
旅館では二間続きの客室の一方にさくらんぼっ娘を残し、オーナーとピピィは隣に消える。
怪訝に思うも彼女は一休みしていると、俄に次の間から怪しげな声が聞こえてくる。
「ピピピ、ピピピィ!」
「違う!ピピィちゃん、もっと軽やかな声で!」「ピッピピ、ピピピィ!」
「もっと美しく、それと『ピピィ、ピィ、ピィ』なのだよ!」「ピピィ、ピィ、ピィ!」
「良くなってきた!じゃあもう一回、歌うように!」
何やら分からぬ怪しいやり取りにギョッとしたさくらんぼっ娘は襖をあけ隣を覗く。
箱根2
「大丈夫ピピィちゃん?オーナーに変なことされてるんじゃないの?!」
「あ、うるさかった?実は『姉さんと同アングルの写真撮影』が私の今回の目標なの。
ちなみに私の憧れの姉さんの写真はコレね。オーナーに今回お願いしたのよ!」
ピピィオリジナル
「あ、そう。アンタ変なこだわり持ってたのね・・・。好きにしなさいな。」
気が抜けた彼女は襖を締め、再びくつろぎ始めた。
こんな感じに皆が好き好きに過ごした2017年の年末なのであった。
つづく
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バタバタした話&なんだか説明が足りなくてすいません。
“ピピィ”の由来は雑誌『こけし時代』掲載の佐志馬こけし写真(上)の擬音表現からで、
いつかこれっぽい写真を撮ってやろうと思っていたのを今回実行したものでした。
同工人の作でも時代で変わることが(参129話)改めて良く分かる比較写真です。