クラブこけしの“しょう子”(店外編32他)はその真面目さで幹部候補と期待されている。
その日彼女は経験のためと、新たに採用希望のこけし娘の面接を任されることとなった。
面接官が初めての経験である彼女は極度の緊張で既にガチガチである。
かたや面接にやって来たのは木地山から来たこけし娘。
彼女は生来何かと運の悪い性分で、その積み重ねのせいかその顔はいつも不満げである。
そんな二人の面接が、店のママである“もっふんママ”の立会の元始まったのであった。
Qとしょう子
「じゃ、じゃあ、め、面接を始めましょうね。ええっと、まずお名前を聞きましょうか。」
「はい、木地山から来ました“小椋久子(おぐらひさこ)”と申します。ここで働かせて下さい。」
慣れない立場に緊張がピークに達したか、しょう子の中で逃避的に何かが切り替わった。
「フン、小椋久子というのかい?贅沢な名だねぇ。」
「!?しょう子ちゃん、なにを言っているもふ?」ギョッとするもっふんママ。
ママは落ち着くようにしょう子を促すも、もはや彼女の暴走は止まらなかった。
「そうだねぇ、今からお前の名前は久の字だけとって・・・“Q(キュー)”だ!
いいかい、アルファベットのQだよ。分かったら返事をするんだ、Q!!」
「は、はいぃ!」
「ちょっと、ストップもふ!どうしたのしょう子ちゃん、
湯婆婆的になってるもふよ!」
「・・・ハッ!あれ私、何か言ってましたか?もう緊張しすぎて何が何やら・・・。」
「ああ戻って良かったもふ。何だか新しいあなたを見たわね・・、後は私がやるもふ。」
こうして面接官はいつも通りママに引き継がれ、話は採用の方向で進むのであった。
「それじゃあQちゃん、今後ともよろしく頼むもふ。」
「ええっ!?私本当に“Q”なんですか?そこは変わらないんですか?」
「可愛いし別にいいと思うもふ。」
立派な名がありながら結局“Q”となった不運な彼女の隣で、申し訳なさそうにうつむくしょう子。
この『しょう子
湯婆婆事件』は“Q”という特異な名の由来と共に語り継がれるのであった。
つづく

Q
○渾名:Q(木地山系)
○工人:小椋久太郎
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工人の作で納得の『不満顔』との出会いを待ち、とうとう見つけました。
この面白くなさそうな表情がなんとも可愛らしいです。
さて『千と千尋の神隠し』の面接シーンのパロディでしたが、
余談ですが私はこの映画をDVDで持っており、
日本でも屈指の回数見たのではと思うほど見ています。