クラブこけしの娘“サーバ”(107話店外編47)を、友人が訪ねてくるという日があった。
フランス語っぽい日本語を時折喋るサーバの天然ぶりに、日ごろ皆はドギマギさせられており、
その友人となれば一体いかなる人物であろうかと、店の娘達は興味津々である。
そして程なく、一人のこけし娘が店にやってきたのであった。
イーナとサーバ
「ボンジュール、サーバ!コナイダノ ヨサブソン?」
「サバ!イーナ!ウィ ナガジュバン!」
どうやら娘の名が“イーナ”だということは皆理解できたが、その他の部分はさっぱりである。
後に聞いたところ、『この間の与謝蕪村はやはり長襦袢を着ていた』的な会話だったらしい。
いずれにしろイーナがサーバに引けをとっていない事に皆感心しつつ、その後の会話にも耳を傾けた。
「イーナ、ホンデ、ワサンボン?」
「ウィ サーバ!シルコクレ!」
「ツブアンツブシアン?」
「ダイナグォン!」
「ショゾン イーナ!」
これらの会話も後に確認したところ、
『では和三盆の甘味なら何がいいか。ならばお汁粉がいい。ついては粒餡と潰し餡どちらか?
大納言小豆なら何でも!わかったイーナ!』といった内容の会話だったらしい。
そして二人が連れ立って出かける段になると、イーナはサーバに声をかける。
「サーバ、ケスクセ?」
「ウィ イーナ!」
これは部屋の電気を消し忘れがちなサーバに、イーナが『消す癖』を確認していたとのこと。
実はこの日二人は皆を意識し、仲良しであればこその間合いで、あえて面白会話をしていたという。
その後店ではイーナを参考に、フランス語風会話でサーバに挑む遊びが流行っているという。

つづく
イーナ
○渾名:イーナ(土湯系)
○工人:稲毛豊
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稲毛工人による後期喜平型、均整のとれた眼差しが何とも神々しく、サバっこい(鯖湖らしい)一本です。
こけしウィキによれば、工人は45歳(S49)に本格的にこけし制作に入るも、
57歳でお亡くなりになるという・・・残念なことです。
その一方での脈絡のない話でなんとも心苦しいです。
フランス語っぽい日本語、調べたら結構面白かったので無理くり会話にしてみました。