その日もクラブこけしオーナーは店にスカウトできる娘を求め、とあるこけし屋に来ていた。
こけし屋をウロウロするオーナーの耳に、ふとある鳴き声が聞こえてきた。
「ピピィ!」
「こっ、この鳴き声はまさか、例の娘だけが発するという伝説の鳴き声では・・・!?」
それは『ピピィ伝説』とも呼ばれ、オーナーが常々採用したいと思う者が発するとされる声であった。
鳴き声のした方を振り向くと、そこには確かにオーナーのイメージに近いこけし娘がいた。
ピピィ2
「今『ピピィ』と鳴いたのは君かね?」
「ええ、そうですけど。あ、もしかしてクラブこけしのオーナーさん?私をスカウトですか?」
そのこけし娘はかねてよりクラブこけしで働いてみたい思っていたので、乗り気な反応である。
「私だったらOKですよ!さあさあご採用くださいな!」
「むむ・・、しかし、よくよく見ると少し違うような・・しかし『ピピィ』と鳴いたことは確か・・」
ピピィが何だって言うんですか、煮え切らないわぁ。それに何が違うんですか!」
オーナーの説明する『ピピイ伝説』と、本来採用を希望する娘のイメージとは概ね次のようであった。
ピピィ比較
「つまり30年代っぽい君はちょっと過渡期的というかその、イメージにはとても近いのだが・・・。」
「贅沢な!クラブこけしの安月給で20年代の姉さんが雇えるわけないじゃないですか!」
「うむ、まあそうであるな。では晴れて君を採用しよう!源氏名は・・・“過渡期”でどうかね!」
「そんな名前あるかっ!“ピピィ”ちゃんにしてください!!」
こうして危うく変な名前を付けられることを回避して採用された“ピピィ”であった。
なお後に聞いたところ、一族は年代によらず皆『ピピィ』と口癖のように鳴くとのことであった。
つづく
ピピィ
○渾名:ピピィ(土湯系)
○工人:佐藤佐志馬
=====================
浅い考察(と強い妄想・偏見)なのであまり突っ込まないであげてください。
佐藤佐志馬工人は時期により描かれる顔立ちが結構変遷しています。
今回の一本は私の好み(20年代)寄りなのですが、40年代への過渡期的な感じかと思います。
さてさて、突拍子もない謎設定『ピピィ伝説』でしたが、
元ネタは
雑誌『こけし時代』の中で、好みのこけし横に「ピピィピィピィ」との擬音があり、
「きっとこれはこの娘の鳴き声だな!」と妄想していたことによります。
ピピィ_こけし時代