その日、クラブこけしではもっふんママと、新たに店に加わるらしいこけし娘が話していた。
「・・・私、
これからは昔迷惑かけた分、皆の為に頑張るわ。もっふんママ、よろしくお願いします。」
「寅ちゃんがそう言ってくれるなら歓迎もふ。こちらこそよろしくもふ。」
寅ちゃん(本名“寅もっふん”)と呼ばれた娘、かつて蔵王の里では硬派な不良娘としてその名を馳せ、
その後仙台に出ると一転、仙台パルコではショップのカリスマギャル店長にまで上り詰めたという。
その背中には若気の至りの「
お釈迦様」がいるらしいという噂から、「お釈迦の寅」との異名をもつ娘である。
そんな彼女とパルコに兼ねてより憧れているのはクラブこけしの“ナオシ”(34話店外編95他)。
寅もっふんが店にいると聞くや飛んできて、舎弟のような調子で挨拶を始めた。
寅もっふんとママ、ナオシ
「寅姐さん!ォシャーシブリッス!お勤めお疲れッシタ!」
「あらナオシ、久しぶりね。これからはここでお世話になるわ。よろしくね。」
「と、寅姐さん!シャッス!こちらこそシャッス!」
憧れの寅もっふんを前に目を輝かせているナオシにもっふんママは不満気である。
「何よナオシその態度は、私の時と大分違うもふね。」
「だって、あの寅姐さんなのよ?仙台パルコのカリスマよ!私もいつかは姐さんみたく・・・!」
「ふふふ、ナオシ、パルコを舐めるんじゃないよ!
まずはここで一人前になること。じゃなきゃ・・・お釈迦が黙っちゃぁいないよ!」
「ああ、やっぱり噂は本当なんですね・・・!シャッス!寅姐さん、オネシャーッス!」
ナオシの態度の代わり様に釈然としないものを感じながらも、経験豊富な寅もっふんの採用は、
店にとってもプラスになると考えたもっふんママの決断であった。
なお寅もっふんの背中に本当にお釈迦様はいるのか?真偽は目下謎のままである。
つづく
寅もっふん
○渾名:寅もっふん(蔵王高湯系)
○工人:石澤寅雄

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寅雄工人による岡崎栄治郎型です。
「あったんだ!」と思い栄治郎型好きとして放っておけませんでした。
能登屋テイストとはまたちょっと雰囲気が違うように感じます。
工人の暮らした“釈迦堂”という地名が妙に印象的に響いて、結果突拍子もない話になりました。
なお『釈迦』がいるのは背中ではなく、単に胴底に文字が書かれているだけでございます。
寅もっふん裏