その日、クラブこけしでは“源子のヘアスタイルを考える集い”が行われていた。
黒髪おかっぱの源子(111話、店外編62)は、常々おしゃれなヘアスタイリングに憧れがあり、
そういった事に通じているモデル事務所所属の友人の“おさげ”(86話)に助言を求めたところ、
おさげはボブ美を伴ってその日、くらぶこけしの源子の元を訪ねて来たのだった。
ボブ美と源子
「おまたせ源子ちゃん。今日は親友のボブ美を連れてきたの。きっと参考になるわよ!」
「初めましてボブ美です。素敵な黒髪ね源子ちゃん。」
「あ、ありがとう。ボブ美ちゃんってゴージャスなヘアスタイルね。」
ボブ美の豊かな毛束とスタイリングは源子から見てもうっとりするものであった。
「どう、ボブ美の髪型いいでしょ!私みたいなストレートおさげよりも女子力は高いわよ。」
「本当ね!ねぇねぇボブ美ちゃん、その髪型なんていうの?私にもできるかな!?」
「うふふ、これはね、『エアリーショートボブ』っていうの。ボブヘアのアレンジ版なのよ!」
「「エ、『エアリー
ショートボブ』!?」」
その時、源子と同時に驚きの声を上げたのは隠れて盗み聞いていたクラブこけしオーナーであった。
「な、何かねその乙女っぽいフワフワした響きのヘアースタイルは!?かわゆいではないか!」
突然のオーナーの出現に一同驚きつつもボブ美は説明を続ける。
「は、はい。ええと、毛先を持ち上げながらドライ後に、ソフトワックスを全体になじませてフワリと・・・。」
「な・・・なんという女子らしい気遣い、そして仕上がり・・・。ボブ美ちゃん、採用であるよ。」
「え!?どういうことですか?採用って?」
「だからクラブこけしに採用であるよ!女子とはフワフワであるべきなのだよ、うむ!」
「えええっ?!」
オーナーの謎の『
女子観』の琴線に触れ強引にクラブこけしに採用されたボブ美。
おさげは呆れて帰っていったが、源子は日々手ほどきが受けれると喜んでいた。
つづく
ボブ美
○渾名:ボブ美(蔵王高湯系)
○工人:梅木修一
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「何この豊かな毛束!?蔵王っぽいけど・・・かわいい。」と裏を見たら梅木修一工人の作。
梅木家といえば『岡崎長次郎型』と思っており、この型を知りませんでしたが、
どうやらこれは蔵王高湯系のこけし工人として駆け出した頃以来の本人型かと思います。
(浅い調査なので間違ってるかも・・・)
それだけに工人の理想が詰まった感じというのでしょうか、私もグッと来ていまいました。