昨年末、秋田でスカウトされクラブこけしへとてやって来た“シカク”(124話)が東京に来る前の事。
秋田出身の彼女は折角だからと角館の観光案内をオーナーにしていた。
角館1
「オーナーさん、この角館の武家屋敷は『重要伝統的建造物群保存地区』なんですよ。」
「ほほう、前に訪ねた伊根の漁村美山町の山村集落と同じなのだね。
中々の風格ある景色であるよ。というのもさておき、君の名をどうしたものかのう。」
実はこの時点で彼女の名はまだ決まっておらず、観光しつつオーナーはそれを考えていたのである。
これまではこけし娘の親の名から一文字取り、
後ろに『子』の字を付ければ女子の名になると簡単に処理していた彼だが、
店の娘が増えるにつれ、簡単な命名だと混乱して覚えにくいという事態に陥っていた。
角館2
「どうですかオーナーさん。私の名前は決まりましたか?ほらここに良いのがありますよ!」
「ほほう?どれかね?」
「ホラ、上に赤字で・・自分で言うのもなんですが、私、命名してくれるならば喜んで・・・」
「ほう!これで良いのかね?確かに秋田らしいが、ちょっとはっちゃけすぎかと敬遠していたのだよ。」
「えっ?オーナーさんどっち見てます?下じゃないですよ上ですよ!下は勘弁して下さいよ!?」
「うん、やはりそうであろう。女の子だし“きりたんぽ”ではちょっとのう。」
「だからホラ、上のコレでいいじゃないですか!秋田こま・・・」
「ああ、そっちね!ハハハ、それはちょっと盛りすぎ感があるのう!」
「ええっ!あ、そ、そうですか・・・(ガックリ)」
というわけで、こけし娘の命名には何かしらの美学を持っているオーナー。
結果、彼女を土産物屋で見た第一印象そのままに“シカク”と命名したのであった。
つづく
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ウチのこけしは全て命名してあげるのですが、本数の増加により先に述べた通り、
最近はちょっと捻りを加えていかないと、被ったりインパクト薄であったりで悩ましいところです。
かといって突拍子もない名前だとキャラ(私の勝手な妄想)と乖離してしまうので、
程々のところで似合った名前を付けてあげています。