クラブこけしの中でもエリート意識の強いタジ子(59話店外編40他)とキイチ(85話店外編26他)。
いつも張り合っているそんな二人が、横浜中華街の関帝廟に観光に来ていた。
中華街
こけし好きからは『中国料理風』『濃厚』『ねっとりした情味』等と評されるタジ子。
そんな訳で普段タジ子を『中国女』と揶揄するキイチだが、夜の関帝廟の美しさには心を奪われていた。
「はぁ~、ライトアップされるとエキゾチックで素敵だわ・・・。」
「あら、キイチ。中国的なものは私を含め嫌いなんじゃなかったかしら?」
「えっ!?もっ、もちろんよ!別に好きじゃないわよ!こけし女子たるもの日本命よ!」
「あっそう。まあいいわ。私これかから中華街を満喫するから。キイチはもう帰りなさいよ。」
「ま、まあ、そうね・・・。じゃあ帰ろう・・かしら・・・」
「さあて、どの中華屋さんに行こうかな。『濃厚』で『情味』あふれる『中国料理』!楽しみだわ!」
「の、『濃厚』な『中国料理』を・・・、これから食べるのタジ子?」
「もちろんよ。年末だしパアっとね。アンタは帰って日本人らしくお茶づけでも食べたら?」
キイチはお腹をグルグル鳴らし遂に堪らずに行ってしまう。
「わ、私だってたまに「京劇のメイクみたいね!」って言われるし!」
「ほう、それで?」
「アンタのことは嫌いだけど、別に中華料理は嫌いじゃないし!」
「フフフ、まあヨシとしてあげるわ。」
「何よその勝った的な感じ!一人中華なんて絵的に痛いだけよ!逆に感謝してほしいわ!」
結局は忘年会ということで中華街へと向かう二人。
こうして2016年は暮れていくのであった。
つづく
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こけし辞典における太治郎型こけしに対する表現が独特で好きです。
『中国料理風』『濃厚』『ねっとりした情味』などなど、
評者の中華に対するイメージとは何だったのか、私ごときには計り知れないものがあります。
喜一型の京劇風な顔立ちは、関帝廟の中華な景色に妙にお似合いなのですが、
太治郎型に対する先人の評は、そんな表面的で浅はかな話ではないのでしょうね、きっと。

といったところで、年内はここまで!皆様良いお年をお迎えくださいませ。