芸術の秋ということで、その日“ゆき子”(12話ほか)は東京青山の『岡本太郎記念館』へとやって来た。
せっかくなので誰か一緒に行きたい者がいるかとクラブこけしで募ったところ、
手を挙げたのはその行動力で定評のある“豆タンク”(114話店外編65)であった。
岡本太郎1
「豆タンクちゃん、まさか体育会系のあなたが手を挙げるなんて思わなかったわ。」
「お誘い感謝するっす。青山なんて初めてだし、何でも経験と思ったっす!」
初の南青山ということもあり、緊張気味の豆タンクをゆき子は微笑ましく見ていた。
「そんなに緊張しないで、岡本太郎芸術を楽しみましょ。」
「はいっす。ええと、ええと、さすが太郎っす。爆発している気がするっす。」
「ウフフ、そんなに固くならずに、芸術はもっと自然に感じるものよ。」
「はいっす。ええと・・、何だかあの大作『太陽の塔』に見られている気がするっす。」
「もう、豆タンクちゃんたら、リラックス、リラックス。『太陽の塔』は大阪でしょ。」
「はいっす。でも・・」
豆タンクを微笑ましく思うゆき子は少し先輩風を吹かし始める。
「そりゃあ、南青山なんていったら泣く子も黙るオシャレスッポトよ。
私の様に馴染むのには少し時間がかかるかもね。でもそれと芸術は別よ。もっと素直な心で・・」
そう言いつつ、豆タンクが眺めている方向に目を向けるとゆき子。
「なッ、なんですとぉぉ!」
岡本太郎2
岡本太郎記念館の2階ベランダから2人を覗き込んでいるのは、紛うことなき『太陽の塔』であった。
「そうなんっすよ。さっきから居るんっすよ。」
「ほ、本当だったのね・・・。何だかごめんなさいね、変な先輩風吹かせて。」
「え、そうっすか?!別に何も気にならなかったすよ!」
2人は引き続き岡本太郎記念館で芸術の秋を楽しんだのであった。
つづく
=====================
今や近寄り難い程のオシャレエリアにある岡本太郎の旧アトリエ。
最初の写真のオブジェは『午後の日』というタイトル、言われてみればそんな気も。
太郎オブジェはどれも、こけしと並べても結構イケるのではないかと思い、
何だかミニチュアがほしくなってきます。
そして覗き込む『太陽の塔』!パロディ作品だと思いますが中々の愛嬌でした。