何とも不憫な名前をオーナーに付けられたこけし娘がクラブこけしにいる、
という噂を聞き、やって来たのは“でこぱっち”(63話店外編36)であった。
彼女はクラブこけし所属の娘ではないが、その名はオーナーに命名されたもので、
それを不本意に思っている事からこの噂にも同情を感じ、件の娘を慰めるつもりでやって来たのである。
もらいっ子とでこぱっち
「あなたね“もらいっ子”ちゃんっていうのは!大丈夫?
元気?落ち込んでない!?」
「あら、でこぱっちさんですね。おつでーす。」
「えっ、あ、おつかれさま、って以外とサバサバしてるのね・・・」
“もらいっ子”と呼ばれた彼女は、オーナーがどこかから貰って来たのがその名の所以らしい。
「あなた、“もらいっ子”なんて名前付けられてオーナーに抗議はしなかったの?」
「豊臣秀頼の幼名も“拾丸(ひろいまる)”じゃないですか。拾った子の方が健康に育つって、
そういう願をかけるらしいいですよ。私もそんな意味かなーって気にしてません。おつです!」
「凄い前向きね・・・。あら、さすが秋保出身、頭頂部はちゃんと『乙』の柄が描かれているのね。」
「おかげで口癖も『おつ』なんですよ!でこぱっちさん、まだ他に気付くことないですか?」
「ん?別に何も・・・んん!?あなた・・もしかして口も・・・!!」
もらいっ娘の口
「そうでーす!口も『乙』でーす!乙女の『乙』でーす!!
「何だかもうノリも軽いのね。心配して損したわ。」
「気にしていただいてすいません。おつでーす!」
「はいはい、おつかれさまでした。」
何はともあれ、もらいっ
がその名に傷ついていないことがわかり、
拍子抜けするも何やらホッとしたでこぱっちであった。
つづく
もらいっ子
渾名:もらいっ子(遠刈田(秋保)系)
工人:菅原敏
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軽快な筆致で描かれた菅原敏工人による佐藤三蔵型です。
店で別のこけしを買った際「これも持って行き!」とタダで付いて来たものです。
好みの意識も無かったものなので、当初は何となく見ていましたが、
秋保の特徴『乙』マークが頭頂部だけでなく、その口にもあった事をある日発見。
「おつです!」と言われているようで何だかジワジワときて、今や愛着をもって眺めています。