背が高く、かつ頭の大きなこけし二人が、何やら言い合いながらクラブこけしへと向かっていた。
「ちょいと大ママ(50話他)、あまりこっちに寄って来ないでおくれ。頭がぶつかるのよ。」
「私は普通に歩いてるわよ。大吉さんの頭が幅をとりすぎなのよ。」
かくして到着した二人を、もっふんママ(店外5他)とチーママ(店外30他)は強ばった面持ちで迎え入れた。
大吉とチーママ1
「大ママ、大吉姐さん、ご足労だったもふ。」
「お出迎えご苦労様もっふんママ。チーママは始めてね。こちら、2号店の顧問になる大吉さんよ。」
「大吉です。よろしくねチーママちゃん。だから大ママ、頭が近いのよ。またぶつかったわ。」
店には業界団体より顧問が1人つく習わしで、もっふんママの仕切る本店顧問は大ママである。
そして先頃開店したチーママ仕切る2号店顧問に、この度就任となったのが“大吉”なのであった。
彼女の大頭から放たれるオーラは、その目力で幅を効かせる大ママにも引けをとっていない。
日頃から団体こけしのプレッシャーを苦手とするもっふんママは、早々にこの場の離脱を図る。
「じゃあチーママ。あとはあなたと大吉姐さんでよろしくもふ。わたしはドロンもふ。」
「えっ!ママ、そんな!」とまどうチーママを残し逃げ去るもっふんママを見て大吉が言う。
「やれやれね。じゃあチーママ、ともあれ2号店に案内して頂戴な。あ、大ママはもう帰っていいわよ。」
「何言ってるの、私も行くわよ。新店なんて楽しいじゃない。見たいじゃない。暇だし。」
業界OGである彼女等は現場に口を出すのが生き甲斐、現役世代からすれば面倒な存在である。
2号店へと到着した二人の巨体に対し店は手狭だが、その言い合いは生き生きと楽しそうである。
大吉とチーママ2
「良い店じゃないチーママちゃん。あ痛!だから大ママ、頭がぶつかるってば。もう帰りなさいよ。」
「大吉さんが狭くしてるんでしょ。でも素敵なお店ねぇ。あたしこっちの顧問になろうかしら。」
「勝手な事言わないでおくれよまったく。チーママちゃん、騒がしくてごめんなさいね。よろしくね。」
奔放な二人のOGにため息しつつ、支店長の立場に改めて身を引き締めたチーママであった。
つづく
大吉
○渾名:大吉(遠刈田系)
○工人:
佐藤吉弥
=====================

“大ママ”以来、我が家2本目の“尺”こけし、場所をとって大変です。
昨年末、遠刈田温泉に行って以来、ようやく興味のでてきた遠刈田系こけし。
その中でもジワジワと気になっていたのはこの吉弥こけしです。
表情といい、手柄のチョビチョビの多さといい、何故かなんともたまりません。
見分けすら大してついていなかった遠刈田こけしの見え方に、
大きな前進をもたらした一本です。