クラブこけしオーナーと、オーナーの愛人の年末恒例温泉旅行でやってきた遠刈田温泉。
温泉街の案内を買ってでたのはオーナーを愛する?茶がま(28話117話ほか)であった。
遠刈田温泉1
「旦那様、それと愛人さん・・・でしたっけ?ようこそ私どもの故郷、遠刈田温泉へ!」
「うむ、念願の遠刈田温泉、とうとうやってきたのだよ!・・・しかしちょっと閑散とした景色だのう。」
「何も無いところですが精一杯ご案内いたします旦那様!あと愛人さん。」
茶がまの微妙な言い回しに愛人はイラッとしつつも、案内は続く。
遠刈田温泉2
「旦那様ここが遠刈田大橋、通称こけし橋ですよ!かわいらしいですよね!」
「う、うむ・・・、こけしの里には時折ある橋であるが、やはりちょっと寂しいかな・・・。」
「でも旦那様、橋の欄干にもこけしのレリーフがずらりと!壮観ではございませんか?」
「確かにすごいが、季節柄かのう・・・、何とも一抹の寂寥感が・・・。」
遠刈田温泉3
すると茶がまはうつ向き涙を浮かべ始めた。
「・・・はい、本当は私も解っております。ここには誇るべき景色は何もありません、そして私にも・・・。」
そんな茶がまを見て愛人がチッと舌打ちをしオーナーに囁く。
(これ、『何も持っていない可愛そうな私』演技よ。最初から予定通りよ。)
しかし、茶がまの涙にほだされたオーナーにその言葉はもう届いていない。
「茶がまちゃん!そんなことはないのだよ!君がいれば私は十分幸せなのだよ!」
「ああッ、ありがたや旦那様!ずっとあなたのお側に!」
愛しげにオーナーに抱え上げられる茶がまの目が愛人と合う。
茶がまはしれっと目を反らし、愛人は舌打ちをする。いつもの光景である。
つづく
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遠刈田温泉、工人の工房やお店、こけし館もあり十分こけし情緒のある温泉地でした。
単に私が上手く写真に撮ってこなかったため伝わらないだけです。
しかしながら、こけしと言うのは何も無い場所であればこそ生まれたものなのでしょう。
こけしの産地をいくつか巡って来ましたがどこも素朴なところですが、
そこにこけしが居ることで、何とも暖かい思いにさせてくれます。