昨年末、クラブこけしオーナーの年1回のお楽しみ温泉旅行で訪れていたのは、
宮城県は青根温泉にある湯元不忘閣であった。
開湯1528年、伊達公ゆかりの湯として歴史ある温泉宿である。
そこに建つ『青根御殿』を背景にオーナーは店のこけし娘“おそば”(113話)の写真を撮ろうとしていた。
青根御殿1
「なんとも風情のあるお宿と景色ではないか!おそばちゃんも地元で懐かしかろうて!」
「ええ・・・まあ、そうですが・・、しかし浴衣1枚でこんなに窓を開けて寒くないですか?」
「なんのこれしき。素敵なこけし写真のためなら屁のカッパなのだよ!」
写真撮影にハッスルするオーナーのテンションに、まだ店での日が浅いおそばは引き気味である。
そして時折オーナーのタガが外れることを彼女はまだ知らない。
「何かこう、もっと刺激的なショットは無いもんかのう。折角の雪景色だし・・・そうだ、おそばちゃん!」
「な、なんですか?」
「確かおそばちゃんの胴の底には何も書かれて無かったのだよね?」
「そうですけど・・・それがどうか、え?キャーッ!!」
オーナーはおそばをむんずと掴むと宿の中庭に飛び出し、彼女を雪の上に立たせた。
青根御殿2
「キャーッ!冷たい!オーナーのバカーッ!裾に雪が滲みちゃう!」
「一瞬の我慢なのだよ!良い写真の為に頑張るのだよ!ウハハハ!」
訴えてやる!と叫ぶおそばだが、写真撮影に目の色が変わったオーナーの耳には最早届かない。
撮影を終え逃げ去ったおそばの雪の跡に、うっすら残る赤い染料の跡を見て我に帰ったオーナー。
おそばに平謝りするも、彼女は未だオーナーと口をきいてくれないらしい。
つづく
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某雑誌には雪中のこけし写真があり、なんと無茶な!と思っていたのですが、
つい自分も出来るかなと魔が差したところ、やはり傷を負いました。当たり前ですね。
この市助のこけしは銘が底に入ってないので、にじむものは無いと思ったのですが、
裾の赤が少し染み出てしまったようです。
本当にすいません、もうしません。