クラブこけしで働いている肉体派のこけし娘“豆タンク”(114話)は、こけ無線を故郷に発信していた。
「CQ、CQ、こちら豆タンク、サクタちゃん応答せよ、どうぞ。」
遠刈田の田舎のこたつでみかんを食べ寛いでいたサクタは慌てて応答した。
「こ、こちらサクタ。どうしたの豆タンクちゃん?」
「至急クラブこけしに来てちょうだい!オーバー。」
「ちょ、待っ、豆タンクちゃん!?」
こうして訳も分からぬまま東京まで急遽呼び出された、豆タンクの友人サクタであった。
彼女は理不尽な事に首をかしげつつも、対人的には笑顔は絶やさないという当たりの良い娘である。
サクタと豆タンク
店に現れ笑顔ながらも首を傾げているサクタに豆タンクが言う。
「助かったわー、我が友サクタちゃん!早速私に事務仕事を教えて頂戴!」
「ん!?事務?(・・・部外者の私がなぜに?)」
「そう、事務。私、体は動くけど頭脳仕事が苦手なの。だからパソコンとかの基本を教えてほしくて・・・。
あ、もしかして急に呼び出されて怒ってる?」
「べ、別に、怒るというか、突然というか、何というか・・・。」
サクタは首を傾げることで不満をアピールするが笑顔は崩さない為、真意は豆タンクに伝わらない。
「よかったー!そんな笑顔のサクタちゃん大好きよ!じゃまずね・・・」
こうしてサクタは不承不承ながらも笑顔で親友の豆タンクに手解きをする事となった。
「・・・とまあ基本はこんな感じ。後は一人で大丈夫よね豆タンクちゃん。私はそろそろ帰ろ・・・」
「まだよ!もっと教えてほしいことあるのよサクタちゃん!寝床は確保してあるから心配しないで!」
「え!?(いつまで付き合わなきゃいけないの!?)」
豆タンクに翻弄されつつも、笑顔は崩さない性分のサクタ。
彼女の無言の首傾げ抗議は当分つづくのであった。
つづく
サクタ
○渾名:サクタ(遠刈田系)
○工人:
作田孝一
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一目
遠刈田系と分からないような、可愛らしい胴模様のこけしでございます。
作田工人のクセか、ちょっと顔が曲がって描かれていま
すが、
その表情のニュアンスがなんとも言えず面白いです。
「ん!?」と疑問を感じながらも表向きは笑顔で肯定してくれているような。
アンバランスさが逆に豊かな表情を生み出しているという、
人の手が生みだすこけしの妙を感じます。