クラブこけしオーナーが昨年末の遠刈田温泉旅行をした際、声をかけていたこけし娘が店を訪ねてきた。
名は“モクメ”。オーナーのスカウトに「どうしよっかな~」と返事を濁していたちょっと自信家の娘である。
店に入った彼女の「こんにちは、モクメちゃんです!」との挨拶に、次の様な反応で出迎えられた。
「あら、正統派の登場ね。」
「わー、木目模様だ。カワイー。」
「遠刈田の娘は美人ねぇ。」
「さすが、品格があるわー。」
それはモクメの期待通りの反応である。(当然!)と思いつつも彼女なりに多少謙遜して言う。
「そんなことないですよ~。でも私もここで働いてみよっかなーって。すぐナンバー1になっちゃったり!」
モクメとおばさま
「あら、面接?」その時やって来たのは“チーママ”(店外編30ほか)と
“キイチ姉さん”(店外編26ほか)、“サク子”(店外編212223ほか)であった。
たまたま近くを通りがかった年季と風格のある3人に、ここぞとモクメが言う。
「ハイ!おばさま方!私、面接受けてみよっかなーって。」
「おばさま?」キイチ姉さんとサク子の目尻がピクッとなる。
「そうサねェ~。入って3年は御奉公の皿洗いだけど良いのかィ、アンタ。ねェサク子さん。」
「そうですねえ。年季が明けた頃にはその木目もさぞ掠れちゃうわねぇ、あなた、耐えられるかしら?」
「ちょ、ちょっと、キイチ姉さん、サク子さん、ウチは奉公とか年季とかは・・・。」
口を挟みかけたチーママだが、モクメは二人の発言とオーラに気圧されて真っ青である。
「あ、あたし、もうちょっと東京観光してからにしよっかなー。」
そういうと彼女は店をピューと後にするのであった。
「全く今時の娘は。」と言いつつオホホホと笑い会うキイチ姉さんとサク子。
二人には踏んではならない地雷があったことを知ったチーママであった。
なお、モクメは程なくオーナーの愛人のこけしのモデル事務所に採用されたらしい。
つづく
モクメ
○渾名:モクメ(遠刈田系)
○工人:佐藤勝洋
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私が今まであまり手を出していなかった正統派の遠刈田こけしの登場です。
可憐で整った顔立ちと、完成されたデザイン。美しいこけしだと思います。
なのですが私の感覚からするとやはり美しすぎるのです。
そんなわけで実際手を出したのは私の相方の方なのですが、
私も決して嫌いなわけではありませんよ。徐々に徐々にです。