ゆさことピヨピヨが『石三昧』の奈良観光をしている頃、
クラブこけしのオーナーと店のこけし娘“店長”(21話店外編51ほか)は法隆寺へと向かっていた。
「法隆寺は中学校の修学旅行以来なのだよ店長ちゃん。」
「そうですかオーナー。しかしどこも外国人観光客ばかりでしたね。法隆寺はどうでしょう?」
「うむ。国宝であり世界最古の木造建築群、当時も大混雑であったよ。多少は空いていることを願うよ。」
こうして法隆寺へと到着した二人、オーナーはその光景に驚愕した。
法隆寺1
「人っ子ひとりおらんではないか!!」
「本当ですねオーナー。これは一体・・・時間帯のせいかしら?」
「よし!!これは絶好の撮影チャンス!ささっ、店長ちゃんこっちへ!!」
「ああ!オーナー、その姿勢は!!」
オーナーは地面に全身を横たえると、五重塔を背景に店長の写真アングルをとりはじめた。
「そう!これは私のテンションはもちろん、人気の無さや地面の乾燥具合など、
数々の条件が揃わないと出ない最高潮のハッスルポーズ。題して秘儀『HARABAI(腹這い)』なのだよ!」
「オーナー・・・そこまでして私の写真を・・・!」
オーナーの写真撮影の付き合い疲れ始めていた店長であったが、
頑張る人を前には、自分もそれに答えねばと思う出来た娘が店長である。
「わかりました!さあ、オーナーしっかり撮って下さいね!」
「相解ったり!!」
法隆寺2
夕暮れ時の法隆寺境内、周囲の目を気にすること無くスポコンの様な光景が繰り広げられたのであった。
「そう!店長ちゃん、もっと笑って!!」
「はい!オーナー!」
つづく
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夕方の閉門前だったせいか、法隆寺がこんな閑散としているとは思ってもいませんでした。
寺の静謐さと柏倉勝郎型こけしの凛とした仏教的なお顔立ちが妙にお似合いです。
この写真撮影の腹這いポーズはこけし撮影には結構有効なのですが、
恥ずかしいのでなかなかやりません。
そして終わったあと、何かの虫がつくせいか体が痒くなります。