クラブこけしのこけし娘“ナオコ(38話ほか)”は何やらご立腹な様子でオーナーを問い詰める。
善福寺公園1
「オーナー・・・咲いてないんですけど・・・。」
「えっと・・・その・・・うん、もう閉じちゃってたね。」
「やっぱりとは思ったけど、当然じゃないですか!もう夕方ですよ!睡蓮の性質しってますか?」
ここは東京は杉並区の善福寺公園。ちょうど睡蓮の花が見頃な季節ではあった。
ちなみにナオコに初恋の人の面影を見るオーナーは、
青春時代の思い出に浸るかのように、ここ善福寺公園に彼女をデートに誘ったのである。
そのお門違いな動機に渋る彼女であったが、睡蓮の花は見てみたかったので誘いはうけた。
しかし、その結果がこの残念な状態なのであった。
「オーナー、そんなだからその初恋とやらも実らなかったんですよ!
デートならばちゃんと咲く時間帯のリサーチとかしなきゃダメですよ!甲斐性が足りません!」
「う・・・うむ。返す言葉も無いのだよ・・・・。ナオコちゃん、もう一度チャンスをくれんかね!」
睡蓮の花を見たかったナオコも、腹立たしさは収まらないものの、もはや彼女も意地である。
次の週、再び二人は今度は朝5時起きで善福寺公園を訪れたのであった。
善福寺公園2
「オーナー!咲いてます!咲いてますよ!わー綺麗!!」
「うむ!私も初めてなのだよ!見事なものではないか!」
「こういうのを一回で成功させるスマートさが昔もあれば別の結果があったかもですよ、オーナー!」
憎まれ口を言いつつも、蓮池の見事な景色に今回は上機嫌のナオコであった。
つづく
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話は概ね実話です。
もう良い歳なのですがこれまで睡蓮の花を見たことがなく、
常々見たいと熱望し、ちょうど良い季節もやってまいりました。
そして1回目はずっこけ、意地の2回目で満足のいく光景に。
こけしにもなかなかお似合いです。
家からそんなに近い場所でもないので、早起きが大変でした。