クラブこけしのオーナーと店のこけし娘、パシリの“敦子(110話)”は鎌倉の鶴岡八幡宮に来ていた。
「敦子ちゃん、君はまだ東京に来て日が浅かろう。観光案内をしてあげよう。」
「オーナー、ここ東京じゃないっす。神奈川県っす。」
「まあ良いではないか。鶴岡八幡宮の大階段を下から煽るように撮影して、
この雄壮な神社のたたずまいと、こけしのコラボレーションをフィルムに焼き付けておきたかったのだよ。」
「はあ。妙に説明的
っすねえ。怪しい・・・まあいいや。ここに立ってればいいっすか?」
こうして敦子の撮影準備を始めたオーナーだが、敦子はそれを怪訝そうに眺めていた。
(オーナー、やたら撮影に時間かけてる
っすねぇ。それになんだか鼻の下も延びてるっす・・・。)
何かのタイミングを計り、果たしてオーナーはシャッターをきるのであった。
鶴岡八幡宮
「どう
っすかオーナー。その雄壮さとやらは上手く撮れたっすか?」
そう言いデジカメを覗きこむ敦子。その写真の背景を見て何かを悟った彼女であった。
「はい、アウト
っすオーナー。通報するっす!」
「ちょ、待ちたまえ敦子ちゃん!なにか問題かね!」
「また白々しい。完全に盗撮
っす。時間を掛けてると思ったら私をダシこんなことを。」
「違うのだよ!躍動感のある写真にするには背景の人物の動きは重要なのだよ!」
「だからって、スカート女子を階段下から撮影は、もはや出歯亀の所業
っす。」
「だから背景からちゃんとピントは外しているであろう!クッキリ撮ることだってできたのだよ!」
「とうとう本音を吐いたっすね。」
その後もオーナーは敦子に自分の写真哲学を説明するが、
敦子のオーナーを見る冷たい目は変わることがなかったという。
つづく
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後で気がついたもので、決していやらしい気持ちはありません。
しかしながら写真の背景人物というのは重要で、
それが家族連れかお年寄りか子供かで随分と印象が変わります。
どうせなら若さ溢れる写真にしたいと・・・。
しかし階段はまずかったですね・・・以降自重いたします。