江ノ電の由比ヶ浜駅近くの線路際でこけし娘“カニ菊(18話ほか)”がじっと目を見張っていた。
付き合わされたクラブこけしのオーナーは、既にこの状態に飽きている。
「カニ菊ちゃん、蒸し暑いしどこか喫茶店にでも行かんかね。」
「ちょっと待って下さい、もう少しで・・・来た!」
江ノ電の車両が遠くに現れた。
江ノ電
「あー、500形かー。10形か20形を期待したのになー。」
「ん?何を言っているのだねカニ菊ちゃん。君、もしかして・・・。」
「ええ、鉄道大好き『こけ鉄子』ですよ。」
店の会計係補佐、理系の彼女の趣味が明らかになった。
「まあ、下調べもしてなかったし仕方ないか。でも500形も良いですよね。
旧500形を受け継ぐ丸みを帯びたヨーロピアンボディでありながらの、
液晶ディスプレイも備えた最新VVVF車両!ベルマーレ平塚の広告がトレードマークね。
何よりもこの沿線と車両の近さ!
もう江ノ電ゾクゾクするわぁ。」
「そんなもんかね。」オーナーには付いていけない。
「オーナーは江ノ電の何形が好きですか?」
「何形?こんなものひっくるめてチンチン電車なのだよ。」
「な・・・、何という浅はかさ・・・!もう2,3本見ましょう。魅力を説明します!」
普段は来れない鎌倉の事、鉄子魂に火のついたカニ菊は、なかなか動こうとしなかったという。
つづく
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初期に入手の“カニ菊”ですが、
付き合いの長いこけしのキャラ付け深度が増していくのは、
こんなブログをやっているお陰ともいえます。
私も理系なのですが、電車にはさほど興味はありません、
が、江ノ電は路線にも情緒があって好きです。
こけし好きは文系、理系で傾向はあるのでしょうかね。