クラブこけしオーナーが今回来ていたのは鎌倉の由比ヶ浜。
彼は愛人の経営するモデル事務所所属のこけし娘“黒っ娘”と“白っ娘”(47話)を強引に誘い、
海にやってっきたのである。浜は折しも浜昼顔の咲く季節。
浜昼顔
二人娘は花を楽しみつつも、遠くから自分達を眺めているオーナーを観察していた。
「白っ娘ちゃん、見てあれ。オーナーが遠い目でニヤついてるよ。」
「そうだね黒っ娘ちゃん。キモいね。」
「社長(オーナーの愛人)がいってたけど、夏が近づくと海辺でソワソワし始めるらしいよ。」
「なんで?」
「なんか夏の海では素敵な出会いがあると未だに思っていて妄想し始めるらしいのよ。」
「ええ?!キモッ!中学生か!もう何歳よ!もしかして私達でイメージ膨らませてるの?!」
「多分ね。白っ娘ちゃん、ちょっとオーナーに手を振ってみてよ。」
渋々と作り笑顔でオーナーに手を振る白っ娘。
するとオーナーはキリッとした顔で2本指を立てると額から一振り、笑顔で返事を返してきた。
「うわっ、見た?黒っ娘ちゃん?無理無理!!」
「うん。酷いね。あれじゃ来るものも来ないね。もうほっとこうよ。」
「そうね。でもホント、浜昼顔って海辺の情緒があって素敵ね、黒っ娘ちゃん。」
「そうだね。夏が待ち遠しくなるよね、白っ娘ちゃん。」
それぞれの思いで楽しむ初夏の海辺であった。
つづく
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浜辺に昼顔というシチュエーションがどうしても見たくて、
浜昼顔が群生するという由比ヶ浜にやってきました。
写真では上手く撮っていますが、
実際はロープで保護された本当に狭い範囲でちょっと残念。
いつかもっと広大な群生地を見たいものです。