前回に引き続き伊豆半島は松崎町のとあるなまこ壁の古民家でのこと。
遠くでクラブこけしのオーナーと文子が言い争っているのをよそに、
“ゆさこ”と“ピヨピヨ(102話)”が、何やら感慨に打ち震えていた。
松崎3
「ピヨちゃん、ついにこの時がやってきたね・・・。」
「うん、ゆさこちゃん・・・。これこそ私達の思い描いていた時間ね。」
「そう!!古民家で『クウネル(ku:nel)』を読むのよ!!」
『クウネル』とは、マガジンハウス社より出版されている、ナチュラル系というか、ゆる系というか、
地に足の着いたような文化、物、人々、先人の知恵、等を題材とした、
それでいて理屈っぽくない、何ともふわふわとした内容の雑誌で、2人の愛読書なのである。
「ピヨちゃん、この古民家と言うシチュエーション、まさにクウネル感だよね。」
「そうなのよね。これは通勤電車で読むような雑誌じゃないのよ。」
「この毒にも薬にもならないようなふわふわとした内容・・・、もうたまらないわ。」
「この雑誌がここにあるという景色だけでもう十分なくらいね。」
独特な感慨に酔いしれる2人は、ひとしきり恍惚とした後、雑誌をめくり始めた。
「ああ・・・ゆさこちゃん。このふわふわ感!『庭のよろこび』ってもう何なの!!たまらないわね!」
「でもさぁピヨちゃん、私たまに思うんだよね。これって結構反消費的なテーマの雑誌じゃん。」
「そうよ。良いことじゃない。」
「でもこれ、ホラ、このブーツ・・・5万円って!!何だか矛盾を感じない?」
「うっ・・・くっ・・・、仕方ないのよ!!ナチュラルな生活には実はお金がかかるんだから!
この古民家だって、維持するのとかきっと大変なんだから!!」
「まあね、いいんだけどね。癒されるし。でも5万円って・・・。」
果たしてそこから『豊かさとは何か』という議論に発展する事も無く、
『クウネル』の魔力により2人は再び古民家での癒しのひとときに飲まれていくのであった。
つづく
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雑誌の宣伝のような話でスイマセン。私は言うほど読んでないんですけどね。
かつての商家だった
この建物、、今は一般に公開されています。
維持はご近所でやっているようですが、
結構大変との事でした。
しかしながら時間と手をかけたものからは、やはり魅力がにじみ出てまいります。
家のこけし達にも久しぶりに乾拭きをしてあげようと思います。