その日、ゆさこはもっふんママに呼ばれ、吊るし上げを食っていた。
ゆさこの横には、クラブこけしに居付いて久しい、例の(店外編711)こけしカップルがたたずんでいる。
ヒナオとヒナコとゆさこ
「ゆさこちゃん、いい加減この御カップルが何者か説明するもふ。」
「あー、えー、そのー、やっぱり見えます?」
「見えてるもふよ!今朝も一緒に朝飯まで食べたもふ!!もう半年は見てるもふ!!」
「そうですよねぇ・・・。私も変だなと思っていたんですけど・・・。」
「言ってる意味がわからんもふ。ちゃんと説明して!」
観念したゆさこは謎のこけしカップルについて語りだした。
このカップルはゆさこの故郷鳴子温泉で春先に現れ、郷里に春を告げる妖精のような存在らしい。
人見知りで、気にしだすと隠れてしまうので、皆気付かないふりでそっと見守るのが常である。
基本、鳴子のこけし娘にしか見えない存在ということで、例年概ね5月前には姿を消してしまう。
「話は大体分かったもふ。でももう10月よ!?」
「そうなんですよねぇ。だから私も変だな~って。しかもみんなに見えてるし。」
恐る恐るゆさこはこけしカップルに尋ねた。
「あのー、何ていうか、今年は長くないですか?」
するとこけしカップルがポツリポツリと語り始めた。
「居心地が良いでおじゃる・・・。のうヒナコさん。」
「ええ、ヒナオさん。賑やかで楽しいしご飯もおいしいし。もう居ついちゃおうかなと。」
開き直った2人の告白にもっふんママが割って入る。
「うちの店でタダ飯食らいは許さんもふ!ここに居たければ何か役に立つことをしてほしいもふ!」
憮然としてヒナオが言う。
「もふもふと何を言う。わらわ等が居るだけで雅であろう。店に品格を与えておろう。のうヒナコさん。」
「そうじゃそうじゃ。」と2人は言うがもっふんママは納得していない。
「もうわかったもふ。2人は客引きに決定もふ!この看板を持って客を呼び込んでちょうだい!」
当初抵抗していたヒナオとヒナコであるが、ママの“働かざるもの食うべからず”の主張に、
渋々と店の宣伝役をするようになった。
しかし、その雅さにはそれなりに効果があるようで、もっふんママもまんざらではない様子で、
当の2人も仕事にやりがいを見出しつつあるという。
つづく
ヒナオとヒナコ
○渾名:ヒナオ(左) ヒナコ(右)
○工人:桜井昭

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久しぶりの本編でございました。ちゃんとした紹介はこっちでしておきます。
と言うわけで、鳴子の
桜井昭寛工人の雛こけしでございました。
こけしというよりお雛様ですが、やはり工人のこけしの特徴がでるものですね。
これだけ綺麗で可愛らしいと、こけし好きにとっては時期が過ぎても
なかなかしまえないのではないでしょうか?
私は男なので別にかまいませんが。