菜の花1
春、満開の菜の花畑にやってきたクラブこけしのオーナー。
連れて来た店のこけし娘達もそれぞれ自由に春を楽しんでいる。
そんな中、菜の花畑の一角から何やら歌声が聞こえてきた。
“のど自慢”(89話)と“コーラス”(90話)が、春の陽気に浮かれ、早速歌の練習を始めた様である。
菜の花2
「♪は~るの~(ワワ) うらぁらの~(ワワ) すぅみぃだぁがわ~(ワワワ)♪」
主旋律をのど自慢が歌い、ワワワと合いの手をコーラスが入れている。
一曲歌い終わり二人が一息ついていた。
「ふーう、相変わらず私達の息は完璧ね、コーラスちゃん。」
「そうね。でも『ワワワ』の合いの手以外に、ちょっと新しい切り口を考えてみたのよ。」
「何?」
「ラップよ!このメロディアスな主旋律の間にラップを放り込んだほうが、今時かつ斬新よ、きっと!」
「う、うぅーん、良く分からないけどとりあえずやってみる?じゃあ行くわよ。」
再び歌い始める二人。
「♪は~るの~(YO!YO!) うらぁらの~(ウラ!ウラ!) すぅみぃだぁがわ~(カワラッチョ!)♪」
「ちょっ、待った待った!何『カワラッチョ』って?」
「え?そんな変かしら?いいから続けてよ。」渋々と続きを歌うのど自慢。
「♪の~ぼり~(お上りさん!) くだぁりの~(ガンバレYO!) ふ~なびぃとが~(ちゃんと飯食ってるか!)」
「ちょっと!コーラスちゃん?絶対無いよ!!『お上りさん』とか失礼だし、ちょっとパクり気味だし!!」
「そ、そうかしら。春に上京した若者への応援ソングテイストを出してるんだけど・・・。」
「ダメダメ!廉太郎先生が怒ってるわよ!」
その後も試行錯誤を続ける二人、何はともあれのびのびと歌の練習を楽しんでいた。
つづく
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こけしと菜の花畑、やはりその素朴さのせいかお似合いですね。
こけしと物や風景の組み合わせは色々な方が試みていると思いますが、
こけしと音楽なんていうのはまだ開拓されていないかもしれません。
意外とヒップホップなんか合うのかも。
吉幾三の『おら東京さ行ぐだ』も絶妙に一世を風靡した事ですし。
しかし、もっとこけしの認知度が上がらないとシュールすぎてダメかな。