所有者に試練と成長をもたらすという謎のこけし娘“トシオ”(61話)がクラブこけしを久しぶりに訪れた。
彼女は現在、オーナーの愛人でモデル事務所の女社長のところで世話になっている。
そんなトシオにどうやら弟子が出来たらしく、その紹介のため、
クラブこけしに長逗留中の守り神(3061話)を訪ねて来たのである。
ノジと守り神
「守り神様、いつぞや(61話)はどうもお世話になりました。へけけけ。」
「相変わらず『おぼっちゃまくん』みたいな笑い方ね。社長さんとはうまくやっているの?」
「ええ。私の見込み通り、試練に耐え成長していますよ。あ、それでこれが弟子の“ノジ”です。」
「初めまして守り神様。トシオ姉ちゃんに弟子入りしたノジといいます。くっくっくっ。」
それはトシオより一回り小さいが、より悪巧み顔と、悪そうな笑い声を漏らすこけし娘であった。
守り神は神通力を通してノジをじっと見つめて言う。
「ほう、この娘もなかなかの能力の持ち主ね。トシオちゃん、ちゃんとコントロールを教えるのよ。」
「はい。そんなわけで今日はノジの訓練がてら、ここのオーナーにちょっと試練を与えてみようと思います。
じゃあノジ、やってみなさい。」
「はい姉ちゃん!」そしてノジは遠くに見えるオーナーに念を送り始めた。オーナーが声を上げる。
「あれ!?とっておきの芋ケンピが誰かに食べられてる!また筒(14話ほか)の仕業か!?」
肩を落とすオーナーを見てノジは「くっくっくっ」と悪そうに笑っている。
「よしノジ!オーナーには丁度いい試練よ。次はどう行く?」
「はい!オーナーのPCをディスククラッシュさせてみせます!」
それを聞いた守り神が慌てて止めに入る。
「ちょ、ちょっと待って!そんな事をしたらオーナーが廃人になるわよ!打たれ弱いんだから!」
「そうよノジ。飛躍しすぎね。人はちゃんと選ばなきゃ。お騒がせしました守り神様。
事務所に戻って愛人社長でいろいろ訓練させますので。あの人は打たれ強いですから。へけけ。」
「そうね、ちゃんと修行をつけてあげるのよ。ノジちゃんも頑張ってね。」
「はい!!くっくっくっ。」悪そうな笑い声を残し二人は帰っていった。
守り神は愛人社長を何となく不憫に思う一方、オーナーの打たれ弱さを思いため息をつくのであった。
つづく
ノジ
○渾名:ノジ(土湯系)
○工人:野地忠男
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人形には何かしらのパワーがあると感じることが誰しもあると思います。
それは、見た目や、買ったときのエピソード、その後の状況等いろいろこじつけで、
良かれ悪かれなのですが、このこけしの顔・・・、悪巧み顔です。
そんなわけで、私所有のものではないのですが、
人のものだと思って見る分にはまあ可愛いですよ。
佐久間俊夫工人の“トシオ”には劣りますが、小さい割にグラム単価もなかなか。
余談ですが芋ケンピが大好きです。