クラブこけしの“ゆさこ”は、双子の鳴子娘“うんきち1号・2号”(8283話ほか)の教育係であるが、
力量不足によりそのやんちゃぶりを抑える事が出来ず、本人ももはやだらけ始めた今日この頃であった。
身内の娘達がお店にあまり迷惑を掛けては一門の名折れと、その状況を案じたのは、
ゆさこの姉で、秘密諜報部員コードネーム“SAIKICHI”こと、“ゆさ姉”(67話ほか)であった。
ゆさ姉は1人のこけし娘と話を付け、彼女に店の面接を受けさせる旨、ゆさこに手紙を書いた。
『あんたの力不足ほか状況改善のため、親戚筋の娘を一人送ります。面接は多分大丈夫。ゆさ姉より』
(採用基準も厳しくなっているのに、なぜか姉さん自身満々ね・・・。でも本当なら有難いわ。)
と、ゆさこは思いつつ、そうして面接日は訪れ、そのこけし娘はやってきたのであった。
シン子と皆
現れたのは、それはそれは色白ふっくらもっちりとした鳴子娘であった。
「どうも初めまして、私、出雲より遥々やってまいりました、シン子と・・・」
「ちょっと待ちたまえ・・・!」オーナーがうなり、もっふんママに言う。
「ママ・・・、この娘を見てると・・・、これはあれがないと、面接に身がもう・・・!」
「もふ・・・!そうね、なんだかもうたまらないもふね・・・。ゆさこちゃん、あれ買ってくるもふよ!」
シン子を見たゆさこも、2人の言わんとすることが分かっていた。
「は、はい・・・!いってきます!」そう言い店を駆け出していくゆさこ。
これらの反応を前に、シン子には意味が分からなかった。
ゆさ姉にも何故か『あなたなら大丈夫!』と言われるも、不安を抱えて臨んだ面接である。
程なくして戻ったゆさこが手にしていたのは大福もちであった。
「オーナー!これで良いんですよね!!」
「うむ!この娘を見た瞬間から無性に食べたくてのう。では面接をはじめようかね、大福ちゃん!」
「!?違いますよ!私、シン子ですよ?確かに大福もちっぽいとは良く言われますが・・・。」
「いいからいいから、君、もう大福ちゃんで行くから!」
「大福姉さん!よろしくお願いします!!」ゆさこも喜び、シン子改め大福の採用はあっさり決まり、
以降面接はこし餡かつぶ餡か、また塩か豆かのような大福もちの話題に終始した。
さすがはゆさ姉、オーナーやママの『もちっぽい物が好き』という好みを見抜いていたのである。
大福はなかなかのしっかり者で、うんきち1号2号などからは“鬼大福”と呼ばれるほどで、
クラブこけし内の鳴子こけし派閥の引き締め役をしっかりと担っているという。
つづく
シン子(大福)
○渾名:大福(シン子改め)(鳴子系)
○工人:松谷伸吉
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松谷
伸吉工人は島根の出雲大社近くで活動されているようで、
地理的には外鳴子ということになるのでしょうか。
その顔立ちはいわゆる才吉型なのですが、輪をかけてふっくらもっちりしており、
まるで大福もちのような印象でした・・・
( ̄¬ ̄)
これまでなかなか目にする機会が少なかったのですが、
鎌倉のコケーシカさんでの購入です。

そして、めでたく第100話を迎えたクラブこけし物語、
もうちょっとつづきますよ!