ヒビン様(前話)の「大姉様お入りください」の声掛けで、一同固唾を飲んで見守る中店の扉は開く。
そして、そこには大層年季の入った風合いの、どんぐり眼のこけしが微笑みたたずんでいた。
サク子と皆
「みなさん、ごきげんよう。サク子と申します。突然のお騒がせ失礼いたしました。」
サク子の柔らかな物腰に拍子抜けしたナオシ(27話68話ほか)が言う。
「なんだ、年季の入ったおばさんか。ノリで一瞬焦ったわよ。」が、すぐさまもっふんママにつねり上げられる。
「アンタ!本当に何も知らんもふね!サク子さんもふ!水戸黄門レベルもふ!!」
「イタイイタイ!ちくしょう、どういうレベルよ!知らないわよ!」
ヒビン様も重ねて言う。
「本当に無礼な奴ね。サク子大姉様に跪きなさい!」が、今度はサク子から
ヒビン様にゲンコツが落ちる。
「ヒビンもいい加減にしなさい!何であなたが威張るのよ!」
「イタタ・・・、だって大姉様は戦前から日本中を旅してきたこけし界の生き字引ですのよ!」
「人様には関係ありません!皆様、ヒビンの無礼をどうかお許しください。」
侘びを入れるサク子に赤んぼ先生(45話84話ほか)が歩み寄る。
「初めまちて、赤んぼ先生と言うでち。伝説のサク子さんに会えるとは、私も光栄でち。
せっかくでちので、旅のお話でもお聞かせ願えませんでちか?」
「ええ、私も人より多少長く生きてまいりました。お詫びと言っては何ですが喜んで!」
そうしてサク子の話は始まり、店のこけし娘達は興味深く皆聞き入るのであった。
しかしある段階よりその話に皆おやっと思い始める。楽しい話ではあるが、思いのほか話が長い。
サク子はノリノリなのだが、何より2時間経つも一向に話が先に進まないのである。
「~と言うわけで、これが私の生まれた時代背景ですのよ。あら、もうこんな時間ね。
皆さんも疲れたでしょう。では続きは明日以降のお楽しみにしましょうね。」
ぎょっとしたもっふんママが恐る恐る聞く。「あ、明日以降もふか?」
「ええ、当分こちらに置いてくださいな。タダとは言いません。ヒビンを好きに使ってください。」
呆気にとられるもっふんママ。そして駄々をこねるヒビン様にナオシが歩み寄って言う。
「よう、新入り。とりあえず肩をもめ。」
以降、ナオシとヒビン様のこぜりあう風景は日常茶飯事になっていった。
果たしてサク子はどのような思いでクラブこけしを訪ねたのか。旅に疲れていたのかもしれない。
少なくともクラブこけしに居心地の良さを感じたようではある。
以降、サク子はこけし娘達の大先輩として、悩みから経営面に至るまで良い相談役となっており、
今のところ再び旅に出る予定はないという。
つづく
サク子
○渾名:サク子(弥治郎系)
○工人:蔦作蔵
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とうとう出ました!ツ・タ・サ・クですよ!!
私が理想にしていた顔形のものに、先日偶然にもお店で出会ってしまったのです!
しかも戦前のものらしいですよ。お財布の中身が・・・il||li (つω-`。)il||l
(ちなみにヒビン様はおまけで付けてくれたほどです)
確かにすごい年季で、その風合いで他のこけしを圧倒しています。
果たして今までどこを旅しててきたのか、挙句“サク子”なんて呼んでいて良いのか?
扱いに多少ビクビクしながらも大事にしております。

そんな勝手な盛り上がりの中、『クラブこけし物語』もクライマックスが近づきつつあります。
100話まではなんとか。その後はまだ考え中です!!