クラブこけしに“幸子(さちこ)”というこけし娘がいる。
おっとりとした娘であり、風流な事物を好むタイプである様だが、
多少夢見がちな感と、そんな自分に酔っている節もあり、ややもすると少し厄介な娘でもあった。
そんな幸子はある日、妹分のミズキ(60話)を散歩に誘うのであった。
幸子とミズキ
「ねえミズキちゃん、初夏を探しに行きませんこと?」
「はあ、何だか響きは素敵だけど、いわゆる散歩ですか?」
「そんな風情の無い言い方しないでよ。薫風や紫陽花のつぼみを感じに行こうっていってるのよ。」
「だって姉さん、前も『春を探しに行こう』って言ってただの散歩だったじゃない。まあ別にいいですけど。」
こうして『初夏を探しに』と称した二人のただの散歩が始まった。
「ふぅーん。ミズキちゃん、深呼吸して御覧なさい。風薫る季節なのよ。」
「ええ・・・、まあ・・・、姉さんやっぱりミナオ(6話44話ほか)ちゃんも誘ってカラオケにしませんか?」
「まったくもう!ミズキちゃん分かってないわね。
“目に青葉 山ほととぎす 初鰹”をこの空気から感じて、もっと素直に初夏をイメージするのよ!」
「絶対それ、姉さんの言い方ひとつですよ。共有しずらいわぁ・・・。」
そう言いつつも二人の散歩は続き、とある神社の前にさしかかる。
「あ、ミズキちゃん、おみくじ引くわよ。神のお告げを聞く事と、素直に自然を受け入れる事は相通ずるのよ。」
そんなもんですかねぇとミズキはいいながらも、おみくじを引く二人である。
まずミズキが自分のおみくじを開く。
「大吉!!幸子姉さん!私大吉!!うん、何だか急に空気もおいしく感じてきた!姉さんは?」
何かを破いて茂みに捨てた幸子。
「え?私?うん、まだ引いてないわよ。」
「いや姉さん、今何か捨てなかったですか?神も自然も素直に受け入れるんじゃ・・・」
「うるさいわね!今日はやっぱり引かない事にしたのよ!さあ、散歩の続きよ!」
大凶を引いた事で、『初夏探し』にイメージしていた予定調和が崩れ、気分を害した幸子がいる一方、
「新緑の空気がうまい!初夏ね!」と上機嫌のミズキであった。
結局その後、幸子からの再提案で、ミナオも誘い弥治郎三人娘でカラオケに行ったとのことであった。
つづく
幸子
○渾名:幸子(弥治郎系)
○工人:
小関幸雄
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弥治郎系こけしの中でもなかなかに乙女チックな表情(特に目)のこけしを、
小関幸雄工人はお作りになっています。
その表情は時代で結構変遷があるようですが、
かっぱ氏のブログ(勝手にリンクはっちゃったけどいいかしら?)を見たところ、
幸子と瓜二つのがおり、幸子も昭和30年代の娘かな?と思っています。
(鼻がちょっとちがう)
しかし、たまにおみくじで『大凶』って引くんですけど、
よくよく思うとなんだかひどくないですか?初穂料納めてあげたのに。