GWのある日、再びあのおばさんこけしがクラブこけしをたずねて来た。
「ゆさこちゃ~ん、いる~?おばさんよ~。」
声を掛けられたゆさこは振り向くと、そこには二人のこけしが立っていた。
あき子姉ちゃんとゆさこ
「あ、大沼のおばさん(32話62話)、それに桜井のあきこ姉ちゃん!」
「ゆさこちゃん元気そうね。おばさん休みが取れて、もったいないからまた東京観光にきちゃったわ。
今回はもったいないから、あきこちゃんを誘ったのよ。」
「うふふ、ゆさこ久しぶりね。そんなわけで、私とおばさんを観光案内しちゃってよ!」
ゆさこは桜井のあきこ姉ちゃんのこの“~ちゃってよ!”を久しぶりに聞き、悪い予感がよぎるのであった。
大沼のおばさんの“もったいない”や、桜井のおばさん(62話)の“何だか悪いわ”もさることながら、
あきこ姉ちゃんの“~ちゃってよ!”も、さすが同じ血筋の娘だけあり厄介なのである。
軽く聞こえるものの、暦とした命令である上、言われた者にはその準備と自発性があたかもあるような、
そしてそれを強要するような響きがこの“~ちゃってよ!”にはあるのである。
「あ・・・あの、あきこ姉ちゃん、“~ちゃってよ!”と言われても私仕事が・・・。」
と、すかさずもっふんママが遠くから「今日は休んでもいいもふよ~。」と声がかかる。
「ほらゆさこ、お許しが出たし休んじゃってよ!そして私たちをパパッと案内しちゃってよ!」
断れないゆさこ。こけし社会は結構儒教的なのである。
「ゆさこちゃん、おばさんパンケーキが食べたいわぁ。ブームには乗っておかないともったいないしね。」
こうして大沼のおばさんと、桜井のあきこ姉ちゃんをパンケーキ屋に案内する事になったゆさこ。
途中々々で“もったいない”と“~ちゃってよ!”による二人の要求に翻弄されつつパンケーキ屋に辿り着き、
そこで皆パンケーキをたらふくと食べたのであった。
「ほんと、今日はおかげ様で楽しかったわぁ。でもパンケーキちょっと残ってもったいないわね。」
「そうねおばさん。ほらゆさこ、残りのパンケーキ、食べちゃってよ!」
「う・・・、“~ちゃってよ!”と言われても・・・私にももう・・・お腹が・・・。」
「大丈夫よこのくらい。食べちゃえるってば!ペロッといっちゃってよ!」
おごりでもあるため、はやり断われないゆさこは、限界を超えてパンケーキを詰め込むのであった。
こうして後、どうやら観光に満足した二人との別れ際、
「また来るねゆさこ。そのときもまた案内しちゃってね!」とのあきこ姉ちゃんの言葉に、
心中(案内し“ちゃう”程の積極性は無いわ!)と思いつつも、
満腹で声も出ず手を振るのが精一杯のゆさこであった。
つづく
あき子姉ちゃん
○渾名:(桜井の)あきこ姉ちゃん(鳴子系)
○工人:桜井昭

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胴模様のとても綺麗なこけしです。
桜井家のこけしはそれぞれ違いはあるものの、顔立ちの雰囲気により、
しみじみと同じ血筋の娘たちだなと感じる家系のひとつです。
鳴子でも老舗感があるので、ゆさこ的にも頭が上がらない感じでしょうか。
“~ちゃって”について、私の思っているニュアンスが伝わらなかったらすいません。
本来、本人以外が使う言葉では無かったのかもと、なんとなく急に思った今日この頃でした。
それ以上追求していませんが_(:3」∠)_