こけしの業界団体(11話26話50話参照)にクラ子というこけしが所属していた。
彼女はこけし水商売界から退いて久しいのであるが、時折現場の空気が恋しくなるのか、
「事件は会議室で起きてるんじゃないのよ!」と死語を言っては、コネを用いて現場復帰をする癖がある。
今回、再び現場が恋しくなったクラ子は、クラブこけし顧問の大ママ(
1140話)をつかまえると、
そこで一定期間働けるように取り付けたのである。
そしてある日、大ママと共にクラブこけしにやってきたクラ子は朝礼で皆に紹介されるのであった。
クラ子と大ママ
「えー、というわけで、業界からの派遣で、
少しの間クラ子さんに働いてもらうことになりました。じゃあクラ子、自己紹介して。」
「オッハー!クラ子でーす!みんな私のことは“クラっぺ”でいいわよ!気持ちはハタチよ!シクヨロ!」
クラ子の自己紹介に皆唖然としている。
見た目の年季の入り方とノリのギャップ。また連発される死語に皆言葉が出ない。
「・・・ちょ、ちょっとクラ子、何今の自己紹介。」
「何って何よ。久々の現場復帰なんだから流行言葉で気持ちの若さをアピールしてるんじゃない!
若い娘達のなかでやってくんだから、これくらいやらないと混ざれないわ!大ママはだまっててよ。」
こうしてクラ子は不定期現場復帰を果たしたのであるが、最初のうちはやはり皆とっつき辛さを感じていた。
ある日のクラ子とゆさこのやりとりである。
「ほら、ゆさこちゃん。ライターの火はこうやって差し出した方がマブイわよ。」
「マ・・マブ・・・?なるほど、ありがとうございます、クラっぺ・・・さん。」
「もーう!“さん”なんて付けなくいいのよぅ。どんだけぇ~。」
(ああ、やりづらい・・・、もうノリがオネエっぽいし・・・。)
そんなこんなではあったが、クラ子の仕事ぶりやその物腰には流石という部分も多々あり、
徐々にクラ子に慣れ親しんでいくクラブこけしの面々であった。
しかし、自分がいつまでもここにのさばっていてはいけないという事もわきまえているクラ子である。
皆と仲良くなり、現場の満足感も得られた頃、再び業界団体に戻ることを皆に伝えるクラ子であった。
「短い間だったけどみんなと働けて、クラっぺ、マンモス満足です!じゃあねみんな、バイナラ!!」
この頃には皆、「ナライバ!」と返すほどクラ子に、そして死語に慣れ親しんでいたのであった。
「やっぱり現場はいいわぁ~。」と言い去っていくクラ子の肌艶は、
現場の空気を吸いツヤツヤプリプリになっていたという。
つづく
クラ子
○渾名:クラ子(肘折系)
○工人:奥山庫治
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ここに来てようやく登場といった感の運七型こけしです。
気に入った顔立ちのものになかなか出会わなかったのですが、納得の一本です。
肘折系のこけしには、ちょっと年季の入った熟女っぽい魅力を感じます。
唇に墨で輪郭をとっているせいでしょうかね。
大人っぽい仲間のキイチ姉さん(26話)もそうですしね。
そんなわけで、これもそこまで古品というわけではないと思うのですが、
そのオーラのせいか、ちょっと別格扱いしてしまう感じです。
「バイナラ」の斎藤清六さん、今何してるんでしょうね・・・。