前回(82話)の流れから、うんきち1号と風呂敷包みはゆさこの部屋に泊まり、そして朝を迎えていた。
言わずもがな風呂敷包みの中身は“うんきち2号”である。
ちなみに2号は双子なだけに1号と顔立ちはそっくりであるが、そのおさげ髪をリボンでまとめている。
目を覚まし未だむにゃむにゃしているゆさこは、枕元に現れた2号に声をかける。
「ほーう、何1号、最近そんなリボンとかで色気づいてんの?まあ別にいいけど。」
まだそれがうんきち1号だと思っているらしい。
「うふふ、ゆさこ姉ちゃん、もっと良く見てみてよ。」
「もっと良く?・・・あれ?何でだろう、なんだか1号が重なって・・・ダブって見えてきたんだけど。」
意図的に重なるように並んだ1号と2号は、エグザイルの様な動きで体を回しながら歌い始めた。
うんきち2号と1号
「何でだろ~何でだろ~何でだ何でだろ~♪1号がダブって二人に見えるの何でだろ~♪」
ここにきて、どっと襲ってきた疲れと共にようやく全てを理解したゆさこである。
「うるさいわ!そして古いわ!!結局2号もいたんじゃん!昨日の時点で二人で来ればいいじゃない!!」
「いや、それじゃあサプライズ感がないし、久しぶりに双子の面白さを再認識してもらおうと・・・。」
「別に今さら何も面白くないわよ!ああ・・もう面倒くさい・・・気を抜いていたわ。」
自省するゆさこがげんなりしていると、うんきち1号と2号はお互いを見合って言う。
「よし、じゃあ2号!もっふんママにここで働かせてもらえるよう挨拶に行くわよ!」
「よしきたガッテン、行こう1号!」
そう言うと二人はもっふんママを目指して走りだしていった。
ハッと我に返り、慌てて二人を追うゆさこは、もっふんママに談判を始めた二人にやっと追い付いた。
「もっふんママ!私達二人をここで働かせてください!!」
「ちょっと、何勝手に話進めてるのよ!今ウチにそんな余裕ないんだから!!」慌てて言うゆさこ。
「そこはホラ、ゆさこ姉ちゃんのコネでなんとか。」
「コネとかママの前で言ったら意味無いじゃない!すいませんママ、この子達バカなんです!」
激しく否定するゆさこにより、涙目になり始めたうんきち1号、2号を見ながら、もっふんママが言う。
「いいもふよ。ここで働いても。」驚きママを見るゆさこ。パッと顔が明るくなる1号と2号。
「ただし!ゆさこちゃんが二人の教育係もふ!そろそろ上に立つという事を学ぶもふよ。」
どうせこんな流れになるであろうことは予想していたもっふんママであり、
最近だらけ気味のゆさこにとっても、これは良い機会であると考えていたのである。
ガックリと灰の様にひざまづくゆさこを輪で囲み、喜び踊るうんきち1号と2号を見て、
(リボンが無いと本当に見分けがつかないもふね。)としみじみ思っているもっふんママであった。
つづく
うんきち2号
○渾名:うんきち2号(鳴子系)
○工人:鈴木俊幸(二代目運吉)
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鈴木俊幸工人の2本目、リボンがくるりと丸くて可愛らしいこけしです。
このリボン娘、“ねまりこ”では見たことがあっても、こけしでは無く、
こけしでこの顔があったらいいなぁと思っておりました。
工人にもポリシーがありましょうことを承知しつつ、恐る恐るお願いしてみたところ、
「こけしでこの型は作らないんだよな~」と言いながらも、了解していただけました。
いわゆる「運吉型」と絵柄が異なる為、伝統こけしとしては作っていないようです。
私としては本人型としてでも是非やっていってほしいと思っているところです。
鈴木俊幸工人、ちょっとコワモテでものすごくドキドキしましたが、素敵な方でした。