ある夜、まだあどけなさの残る太眉のこけし娘が、大きな風呂敷包みを背負いクラブこけしにやってきた。
対応に出たもっふんママに、ゆさこを訪ねてきた旨を伝えると、ママはゆさこを呼んだ。
「ゆさこちゃ~ん、お知り合いが訪ねてきたもふよ。」
そう言う間も、もっふんママは何やら太眉娘の風呂敷包みが何となく気になっている。
こたつてぬくまっていたゆさこは不機嫌そうに呼ばれてやってきた。
「ああ・・もう、こたつと一体化したいわ・・・んん!!あなた!うんきち・・・えっと、どっちだっけ?」
「もう!ゆさこ姉ちゃん、忘れるなんてひどい。1号よ!!」
「あ、そうそう、うんきち1号の方ね。久しぶりじゃない。何しに来たの?2号は?」
「えっ、ああ、2号ね。そう2号とは喧嘩して置いてきちゃった。でもホントに久しぶりだわゆさこ姉ちゃん!」
この“うんきち1号”と“うんきち2号”というのは双子のこけし娘で、ゆさこを姉ちゃんと慕っており、
ゆさこにとっては同郷の妹分であるのだが、この二人が揃うとたいそう面倒くさい娘達のようで、
何かと疲れる想いをさせられてきたという思い出を持つゆさこである。
うんきち1号とゆさこ
そんなこんなで、うんきち1号とゆさこが話をしている間も、彼女の足元に置かれた風呂敷包みが
ずっと気になっているのはもっふんママであった。
(もふっ?やっぱりあれ、どう見てもモゾモゾしているもふね。)
そのとき風呂敷包みから「ちょ・・・く、くるしい・・」と小さな声までママには聞こえてくる。
(ああ、もう声漏れ出ちゃってるじゃない。まったくクオリティ低いにも程があるもふよ。)
二人の話を横で聞きながら、何となく大筋に見当の付いたもっふんママは、気を取り直して言う。
「まあ、ゆさこちゃん、もう遅いしこの娘はあなたの部屋に泊めてあげたらいいもふ。」
「うぅ~ん、気が進まないわぁ。せっかくおこたライフを1人で楽しんでいたのに。
まあ仕方ないわ、付いておいで1号。荷物は自分で持ってよ。」
「はい!ゆさこ姉ちゃん!」
そう言うと再び、そのモゾモゾする風呂敷包みを背負い、ゆさこに付いていくうんきち1号である。
二人プラス風呂敷包みの後ろ姿を見送りながらもっふんママは思う。
(ゆさこちゃん、鈍感過ぎもふ。正月以来気を抜き過ぎの感が否めないもふね。)
何か手立てはと思いながらも、その日は眠気が勝りスルーしたもっふんママであった。
うんきち1号、2号の面倒くささとは、そしてだらけ気味のゆさこの顛末やいかに、ではまた次回!
つづく
うんきち1号
○渾名:うんきち1号(鳴子系)
○工人:鈴木俊幸(二代目運吉)
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お話を2回に分けたので、大した落ちも無くすいません。
鈴木俊幸工人、最近お父様の名“運吉”を、字面の縁起も良いということで、
二代目運吉と襲名なされたようですね。
個人的には推したい、まだまだ現役バリバリの工人さんです。
鳴子系では珍しい垂鼻と、特徴的な髪飾りのこけし、いわゆる“運吉型”です。
そしてこの太眉感、なんともかわいらしいじゃありませんか!
ゆさこや、ゆさ姉(第67話)と同じ一門のこけしです。