モデル事務所に“富士額(ふじびたい)”という名のこけし娘がいた。
その名の通り、美しい富士額をした津軽出身の娘である。
昨年の富士山の世界遺産登録もあり、富士つながりということで、
このところ富士額を持つ自分もキているのではないかと勝手に思っている彼女である。
そんな彼女はふと思い立って、クラブこけしの“ゆさこ”を訪ねてきた。
ゆさこと一緒にいた“ギイチ”(37話55話)も交え、自分の思い付きを話し始めるのであった。
富士額とゆさこ
「ねえ、ゆさこちゃん、あなた『乳製品同好会』(52話65話)に入ってるわよね。」
「うん、巨乳ちゃんの立ち上げたやつね。あなたのお姉さんだっけ。なかなかにパワフルな同好会よ。」
「そう、楽しそうだから私も姉さんみたく、同好会を立ち上げようと思いついたの。」
「はぁ。それでテーマは何なのかしら。」
「よくぞ聞いてくれました。名付けて・・・『富士額同好会』よ!」
キョトンとしているゆさことギイチ。いまいちピンと来ていないのである。
「薄い反応ね。ゆさこちゃんもギイチちゃんも私と同じ富士額じゃない。やろうよ!今富士山キてるんだよ!」
ギイチが恐る恐る聞く。「あの・・・それで活動内容は何なのでしょうか?」
語呂先行の思い付きの為、その辺をあまり練っていなかった富士額はしどろもどろと答える。
「だから、その、富士山世界遺産だし、私達富士額だし・・・、そうね、そう!富士額の啓発活動よ!」
「富士額の啓発?」首をかしげるゆさことギイチ。
「そう、だから・・・そう!ベジータよ!!まずベジータ様について皆で研究よ!!」
「ベジータ?!ドラゴンボールの?それ私達がやる必要あるかな~。」
「なによなによ、じゃあゆさこちゃんだったら何やるのよ。」
「ええ!何で私に振るのよ。そもそもテーマに無理があるんだってば。」
ゆさこと富士額が言い合いをしているなか、ギイチがぽそりと言った。
「あの・・・私、ベジータ好きですよ。プライド高くてかっこいいですよね。」
プライドについては何かと思う所のあるギイチである。
「だよね、だよね、ホラ、聞いた?ゆさこちゃん!」
「それにしたって無いってば。活動内容が希薄すぎるわ。それじゃあオーナーの許可が出ないよ。」
「くぅ、まあ今日はヒアリングのつもりだからいいわよ。今度は企画書ちゃんと持ってくるからね!」
そう言うとその日は帰っていく富士額であった。
何やらどっと疲れ、再び富士額が来ることに戦々恐々としつつも、
ギイチの好みについては意外な発見をしたと感じているゆさこであった。
つづく
富士額

○渾名:富士額(津軽系)
○工人:阿保六知秀
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ベジータ、そのエリート意識とプライドの高さもさることながら、ものすごい富士額でしたね。
さておき、津軽系のこけしは結構しっかりした富士額を持つものがありますね。
ちなみに鳴子こけしの前髪を、当初何となく毛先のラインだと思っていたのですが、
実は、前髪を手柄で結わえて後ろに持って行ったあとの
髪の毛の生え際のラインだと気がついたのは結構後になってのことで、
それ以来結構鳴子こけしの見え方が変わってきました。
と言うわけで、鳴子系も結構富士額の娘が多いのですね。