クラブこけしでアルバイトをしている苦学生の“おしん”(第41話)は、
以前より日本史が苦手だと言っており、気を利かせたオーナーは家庭教師を依頼していた。
それはオーナーの愛人経営のモデル事務所に所属する“天平(てんぴょう)”というこけし娘で、
その名に違わず、奈良時代は天平文化の芸術のごとく神々しくも優雅な面立ちは、
まさに日本の歴史通といったオーラのある娘であった。こうしておしんの日本史集中勉強は始まったのでる。
天平とおしん
「天平先生、私、日本史の流れがいまいち頭に入ってこないんです。」
「大丈夫よ、おしんちゃん。私が分かり易く教えてあげるから安心なさい。」
天平の言葉の神々しさと知的な雰囲気には説得力があり、期待と安心感を覚えるおしんである。
「じゃあ、これから言う流れを、私の後について復唱してね。日本史はリズム感が大事だからね。」
「はい!先生・・・リズム!?あの、天平先生、どういうこと・・・?」
「いいから、じゃあ始めるわよ!」
そして、天平は持参のラジカセのスイッチを入れると、なんとサンバのリズムが流れ始めた。
「♪ナント大きな平城京!ハイ!!」(シャンシャンシャシャン シャンシャシャン!)
「♪ナント大きな・・・ちょっ、先生!ちょっと待って下さい!!な、何なんですかこれ。
それに先生の頭からマラカスの音がするんですけど!?」
そうなのである。天平の頭はマラカスになっており、頭を振るとシャンシャンと音がする。
「おしんちゃん!だからリズムで覚えるんだってば!ホラ!!」
サンバのリズムでノリノリに頭をシャンシャンと振っている天平に、
おしんは当初のイメージからものすごいギャップを感じ戸惑っている。
「どうしたの?ホラ!おしんちゃん!日本史覚えたいんでしょ?さあ、行くわよ!!」(シャシャン!)
「うっ・・・くっ・・・はい。とにかくやってみます!」
「♪ナント大きな平城京!ハイ!!」(シャンシャンシャシャン シャンシャシャン!)
「♪な・・・ナント大きな平城京・・・♪」
「♪ナクヨうぐいす平安京!ハイ!!」(シャンシャンシャシャン シャンシャシャン!)
「♪ナクヨうぐいす平安京・・・♪」
あまりにインパクトある勉強法の為か、おしんは確実に日本史を覚えていく。
ラストは何故か二人合せての「サンバー!!」の掛け声でそれは一区切り着くのであった。
「ハア、ハア、先生!思いのほか効果絶大な気がします!ところで先生のお肌は黒めな様ですが・・・。」
「ふふふ。サンバと日焼けはセットよ!試験終わったら、一緒に日サロ行きましょうね!」
天平の見た目とその実態のギャップに改めてなんだかなあと思いながらも、
自分の為に真剣に教えてくれた彼女に深く感謝するおしんであった。
つづく
天平
○渾名:天平(弥治郎系)
○工人:佐藤慶明
=====================
ガラ入りこけしのため、突拍子もない話となってしまいました。
しかしながら、
佐藤慶明工人の幸太型のこけしの表情の神々しさといったら、
マラカスみたいにシャンシャン振るのが申し訳ない気がしてしまいます。
でもガラ入りなことが多い幸太型のこけし、みんな振って遊んだのでしょうか?
こけしの活用法として、“有り”な仕組みだとは思いますが、
なかなかその出番がないので、せめてお話でといったところでした。
こけしの樹種には疎いのですが、健康的な肌色の娘です。