その日もクラブこけしではボクッ娘(4話33話ほか)とゴヘイ(33話48話ほか)が、
労働の意義について悶々とした会話をしていた。
「ねえ、ボクッ娘ちゃん、働くって結局何なの?その先に何が待っているの?」
「だからゴヘイちゃん、もう深く考えちゃ駄目だってば。生きていくためには仕方ないと割り切るんだよ。」
そんな中、もっふんママから皆に声がかかった。
「ちょっとみんな~、新しい娘を紹介するもふよ。じゃあボンボンちゃん、自己紹介するもふよ。」
「は、初めまして庶民の皆皆さま、ボンボンです。ボンちゃんと呼んで下さい。よ、宜しくお願いいたします。」
慣れないことにドギマギしながら話すボンボン、実はとても裕福な家の娘である。
社会勉強への意欲から、遠縁のもっふんママに頼んで採用してもらったのであるが、
甘えた者に思われないよう、そのことは隠しておきたいと思っているが、何かが漏れ出ている。
皆が拍手をする中、遠目に見ていたボクッ娘とゴヘイは敏感にそれを感じとっていた。
「何だか違和感があるわねゴヘイちゃん。そんなに器量良しの娘には見えないけど。」
「そうだねボクッ娘ちゃん。何となく‘ゆとり’のにおいがするわ。ちょっとお話してみましょうよ。」
そう言うとボンボンのもとに歩み寄ってくる二人であった。
「初めましてボンちゃん。僕は“ボクッ娘”って呼んでね。ところで何でここで働こうと思ったの?」
「え・・と、その・・・勤労の喜びに触れ、皆とそれを分かち合いたいと言うか・・・。」
三人で会話をするが、ボンボンの隠し事のせいか、いまいち話がしっくりと二人にはこない。
ボンボンとボクッ娘ゴヘイ
そんな折、いつものようにお腹を空かせた“筒”(14話ほか)が、ブツブツ言いながら三人の横を通り過ぎた。
「小腹が空いたわぁ。パンか何か腹持ちの良いものでもないかしら。」
それを聞いたボンボンは思わずニッコリとしながら、ボクッ娘とゴヘイに言ってしまう。
「パンが無いならお菓子を食べたら良いのにね!」
「貴族かっ!」思わず同時につっこんでしまうボクッ娘とゴヘイ。ボクッ娘がボンボンに言う。
「ボンちゃん、あなた良いところのお嬢様でしょう。社会勉強のつもりでここに来たんじゃないの?」
「はぅ!バレてる!!ねえ、二人とも私のこと嫌わないで!友達になりたいし、仕事もちゃんとしたいの!」
「全然、嫌いになんかならないよ。ねえゴヘイちゃん。」
「もちろん!寧ろあなたに興味があるわ。仕事とは何か掴めるかもしれないし、仲良くしましょうね。」
こうして三人は仲良くなり、それぞれの労働に対する価値観にも良い影響を与えあっているらしく、
実は、もっふんママの狙いもそこにちゃんとあっての、ボンボンの採用なのであった。
つづく
ボンボン
○渾名:ボンボン(蔵王高湯系)
○工人:木村祐助
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上ノ山温泉名物の牡丹こけしです。(行った事無いですが)
胸元の赤丸は牡丹のつぼみでしょうか、
ボンボンとしているのでそんな渾名をつけました。
黄色い胴と大胆な花模様が何だか縁起の良いというか、
金運の上がりそうな・・・勝手な感想です。
能登屋系列の中でも独特な作風で古くから続いている娘さんです。